加えて、統計調査を所管し、実施し続けるということは、予算と人(定員)を確保し、組織を維持できるということと表裏の関係にあり、その目的のためにデータの改ざんが行われた可能性は否定できまい。

 毎月勤労統計については、この統計を所管する厚生労働省が隠れたところで勝手に行ったものではなく、統計法に基づき統計委員会に諮問し、変更して差し支えない旨の答申を得るとともに総務大臣の承認を受けて行ったもの。

 従って、これ自体を不祥事と評せるかといえば、そうはなるまい。

 そもそもなぜサンプルの入替方式を変更することになったのかといえば、経済財政諮問会議において、国民経済計算を作成する際に活用する「基礎統計」の充実に努める必要性が指摘されたことを受けてのこと。その目的は、国民経済計算でより実態に即した、というより「よりいい数値」が出るようにしたいといったところだろう。

問題となった
「基礎統計」の使い方

 さて、ここで「基礎統計」という新しい言葉が出てきたが、これは統計法に基づく用語ではない。特定の統計を法令上分類するための用語ではない。国民経済計算はそれ自体を直接作成するための基幹統計調査が存在するわけではなく、数多くの統計を活用して作成される加工統計である。

 そうした統計には基幹統計調査や一般統計調査のみならず、民間企業が実施している統計調査も含まれており、それらが総じて基礎統計と呼ばれている。

 問題はそれら基礎統計の使い方である。国民経済計算の作成方法については、統計法に基づき作成基準(内閣府告示)が定められるとともに、国民経済計算推計手法解説書が作成され、公表されている。

 しかし、どのように加工され、使われるのかは非常に複雑で、分かりにくい。素人目からならばブラックボックスと言いたくなるところだが、なんと、日本銀行がその信頼性に疑義を呈すに至ったようだ。

 そして、10月11日、元データの提供を統計委員会の下に設けられた国民経済計算体系的整備部会QEタスクフォースにおいて内閣府に要請したものの内閣府はこれに応じず、両者の対立は先鋭化した(はなから元データの提供を拒否するようなことをするなど、自ら信頼性がありませんと証明しているに等しいと思うのだが)。