金融リスクをモデル化する、より現実に即した手法が登場した。大手銀行や規制当局はこれを手がかりに、道路にできた「穴」に気づくことができるかもしれない。たとえその穴に人々が落ちるのを止められないとしても。2008年の世界金融危機を通じ、金融の世界をモデル化する従来の手法には巨大な盲点があることが露呈した。人々はエコノミストが想定していたような合理的な振る舞いをしないうえ、極めてまれとされた出来事が驚くべき頻度で発生した。投資家や規制当局はそれ以降、代替手法を探し求めてきた。その最新候補が「エージェント・ベース」のモデリングだ。米政府の支援を受ける研究機関マイターと英新興企業シミュダインが協力し、資産の投げ売りや投資家の逃避行動をモデル化したものを商品化した。ここで用いる基本的な構成要素は、米財務省の要請でマイターが開発した米金融システムのモデルに使われたものだ。
次の金融危機を見つける新モデル化手法
クラウドで膨大な因子をシミュレーション
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