描き方は、本によってさまざま

――本を作るうえで、どういったことを意識されましたか?

丸山 たとえば、巨大なジュゴンの仲間のステラーカイギュウとか、『不思議の国のアリス』に登場したことで有名なドードーを紹介するとき、かれらを絶滅させた人間の残酷さを強調する場合も多いと思います。でも、僕はあえてそういう教訓めいたことは強調しませんでした

ぬまがさ なるほど。人間の残酷さばかりが取り上げられがちな絶滅本ですが、丸山さんの本は生き物そのものに注目させている。そこが新しいなあと思いました。

丸山 ありがとうございます。絶滅本って「人間が滅ぼした生き物の歴史」みたいになっているものもけっこう多いじゃないですか。だけど、それだと「悲惨だなー」と目を逸らしてしまいたくなる。だから、一歩踏み込んで親近感を持ってもらうために、あえて生物の視点から書いてみました

ぬまがさ 私は逆に、人間と動物の関わりが興味深い点だったので、その情報は積極的に入れましたね。だから丸山さんの本とは、そもそも取り上げている動物もほとんどかぶっていないですし、同じ動物でもアプローチの仕方が全然違いますよね。

丸山 たしかに、ぬまがささんの『絶滅どうぶつ図鑑』では、絶滅動物の生態と、かれらが絶滅に至るまでの人間との関わりを詳しく解説している。たとえば情報が少ない「メガラニア」のような動物でも、想像を膨らまして「こんなものを食べていたかも?」と紹介しているところが面白いです。

ぬまがさ そう言ってもらえて嬉しいです。丸山さんの『わけあって絶滅しました。』は、絶滅の理由が本当に多様! 氷期とか噴火とか隕石落下とか……。同じ絶滅でもいろいろあるんだなと感じました。同時に、地球ってこれだけ変化してきたんだなあと、地球環境史みたいなのが見えてきました。そういうすごくスケールの大きなことを考えざるを得ないというのも、絶滅を学ぶ面白さですよね。

お互いの本で、イチオシの絶滅動物は?

――お互いの本を見て「この生物を載せたんだ!」と思ったものはありますか?

ぬまがさ 『わけあって絶滅しました。』には「ネアンデルタール人」が載っていて、「そうきたか!」と思いました。動物とは何か、人間とは何か……ということをちょっと考えさせられますよね。とくに印象的だったのが、「おまえらが信じた神、おれらが信じたのは肉」と書かれているように、神という一種の虚構を信じる力みたいなものがヒトとそれ以外の動物を分けてしまった、と解説されている点。その残酷な感じがすごく興味深いし、そういった観点から人間を捉えるというのが斬新だなあとも思いました。ラップ調の文体もユニークですし(笑)。

丸山 僕は、ぬまがささんの本では、「メガラニア」とか「オドベノケトプス」とか、わかっている情報が少ない動物も登場するので楽しいなあと思いましたね。「こうだったかもしれない」という想像力をもって紹介している。読者も読んでいてロマンが広がるんじゃないでしょうか。

第2弾は12月28日(金)公開予定。お楽しみに!