シリアから米軍を撤退させるというドナルド・トランプ米大統領の決断の影響を知る上で、不安を感じさせる物差しの一つは、米国の敵対国をどれだけ喜ばせるかというものだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこの決断を「正しいもの」と呼び、イランの政治家で聖職者のハッサン・アメリ師は「(シリアを)イランの手に委ねるものだ」と評した。アサド政権下にあるシリアの国営メディアは予想通り、満足感を示した。一方、この件について静観の姿勢が際立っているのが、米国が最大のライバルとみなす傾向を強めている中国だ。威勢を誇示する中国だが、シリアをめぐる沈黙は同国が自国の利益を確保する上で、いかに米国主導の国際秩序に依存しているかを示している。