出血熱と名付けられているため、全身から出血して死んでいくと思われているが、実際は違っている。最初の症状は発熱と頭痛であり、2~3日後に大量の嘔吐(おうと)と下痢が始まり、脱水症状となって死んでしまう。無力症と言われ、急激に元気がなくなってしまうのが特徴である。

国立国際医療研究センター国際医療協力局から現地に「JICAコンゴ民主共和国保健省次官付顧問」として派遣されている仲佐保医師
国立国際医療研究センター国際医療協力局から現地に「JICAコンゴ民主共和国保健省次官付顧問」として派遣されている仲佐保医師

 出血があるのは、患者の10~20%である。エボラウイルス自体はそれほど強いウイルスではなく、アルコールや普通の塩素消毒で簡単に死んでしまう。

 エボラウイルスの感染源として、最も疑われているのがコウモリで、特にアフリカ中央部から西アフリカに生息する大型のフルーツコウモリである。

 その名の通りフルーツを食べるコウモリで、大型のため、これを食べる住民も多いという。フルーツを食べているせいか、美味と言われている。また、洞窟観光で、洞窟の天井から落ちてくるコウモリの分泌物からの感染も報告されている。コウモリから、ゴリラ、チンパンジー、シカなどの哺乳動物に感染する。これらの哺乳動物もほとんどが死んでしまう。これらの死体を住民が食べたりして、人間に感染する。人間が一度感染すると、患者の嘔吐物、下痢便などの体液に触れて、他の人間にも感染してしまう。

 エボラウイルス病が最初に発見されたのは、1976年である。

 ザイール(現コンゴ民主共和国)・エボラ川近くの出身の男性がスーダンで発症、300名を超える死亡者を出して、エボラ出血熱と命名された。その後もコンゴ民主共和国では、断続的に流行が繰り返されている。ただし、死亡が300名を超えることは少なく、それぞれの地域の中で収まってきたのが、これまでの特徴である。

最初のエボラ感染者を診察した
ムエンべ教授

 最初のエボラウイルス感染者を診察したのが、現在、コンゴ民主共和国・国立生物医学研究所のムエンべ教授である。

 エボラの研究者として世界中の研究者から尊敬されている。ムエンべ教授がまだ若かりしころ、この流行に接して、「とても奇妙な病気が流行している。従来の感染症とは違う」と言った。

 幸い、本人には感染せず、それ以来コンゴ民主共和国で発生した合計10回の全てのエボラウイルス病流行の対応に中心的に関わっている。