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2019年の仮想通貨で注目すべき動きは何か
――「イーサリアム」共同開発者のチャールズ・ホスキンソン氏に聞く

末岡洋子
2019年1月11日
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本物のユーティリティに
なるまでには時間がかかる

――仮想通貨には悪いイメージも付きまといます。他にどのようなメリットはありますか?

 先ほど述べた2つの変化に付随して、コンプライアンス(規制順守)を大きく変えるだろう。

 これまで金融機関など規制のある財務機関は顧客との関係構築において、顧客が誰かを確認するKYC(Know Your Customer)、詐欺行為の防止を意味するAML(Anti-Money Laundering)を行う必要があった。銀行は基本的にその人が誰なのかを知るためにパスポートなどの身分証明書をみて、どんなビジネスをやっているのかの情報を得ようとするが、その結果として、銀行は一部のカテゴリに該当する顧客をブラックリスト化している。

 だが、国籍が高リスク国であるため、その人も高リスクと分類されてしまっている人もいる。その人個人の非ではないのに、世界の財務システムにアクセスでいない人がたくさんいる。そのために、電子商取引に参加できなかったり、クレジットカードが持てなかったり、高額な送金手数料を取られたりしている。

 仮想通貨と同じ技術を使って自分が何者か、何を所有するのかを証明することができる。司法権が持つ差別がなくなり、その人個人で判断される。結果として、これまで参加できなかった人が世界の市場に参加できるようになる。

 仮想通貨がネガティブな印象で語られる背景には、投機的な側面が大きくなっているからだ。どれぐらい儲かるか、リターンがどれぐらいあるかなど。だが、これは短期的な現象だ。

 これは、1990年代後半の「ドットコムブーム」と同じだ。当時、インターネット会社の株で大儲けしようという動きがバブルを招いたが、当時のドットコム企業は何かの成果を出していたわけではない。Facebook、You Tubeなどが登場し、Amazonが成熟し、人々の生活を変えるようになったのはずっと後のことだ。

 仮想通貨が本物のユーティリティになるまでには時間がかかる。それまでは投機的で、大儲けする人がいれば、損失を出す人もいるだろう。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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