この9番を長野に用意したのは昨年までつけていた丸が抜けたということより、球団の長野に対する敬意の現れだろう。だが、長野は9番を辞退し5番を選んだ。長野は広島にとっての9番が生え抜きのスター候補がつける番号であることを理解しており、有望株の野間峻祥外野手(25歳・現在の背番号は37)が一人前になった時につけるべきだと伝えたそうだ。外野のレギュラー争いをすることになる若手のことを考えたのだ。

 その点、5番は過去に町田康嗣郎氏や栗原健太氏ら主力がつけていたことはあるものの最近は外国人選手に与えられており、さほど重要な意味を持つ番号ではない。長野は気配りができる人物として他球団の選手からも慕われているが、ここでもそうした気遣いをしたのだ。

永久欠番とは別に存在する
“準永久欠番”とでも言うべき数字

 球界では世間が思う以上に背番号に対するイメージを重要視している。その最たるものが永久欠番だ。偉大な選手がつけていた背番号は、その選手だけのものであり、敬意を示すために他の選手には与えられないというわけだ。巨人では長嶋茂雄氏の3番、王貞治氏の1番、沢村栄治氏の14番、川上哲治氏の16番などがそれに当たる。阪神では藤村富美男氏の10番、村山実氏の11番、吉田義男氏の23番が永久欠番になっている。

 永久ではないが、よほどの選手でない限り継承できないという「準永久欠番」というのもある。巨人では松井秀喜氏の55番、阪神は掛布雅之氏の31番と金本知憲氏の6番、広島は前田智徳氏の1番と新井貴浩氏の25番、ヤクルトは宮本慎也氏の6番、古田敦也氏の27番、横浜は三浦大輔氏の18番、ソフトバンクは鶴岡一人氏の30番、西武は大下弘氏の3番、中西太氏の6番、オリックスは福本豊氏の7番、イチローの51番、楽天は田中将大の18番などだ。

 広島の9番もこの準永久欠番にあたる。緒方監督が現役引退時、“つけるにふさわしい選手が現れるまで欠番”とされたのだ。丸が継承したことはそれだけ凄い選手として球団が認めたからだ。そして長野に対しても同様の敬意を払ったわけだ。また、その候補者として名前があがっている野間にも大きな期待がかけられていることが分かる。

 こうした永久欠番や準永久欠番になっていなくても各球団にはそれぞれ一流選手がつけるに値する重い背番号がある。とくにひとケタはレギュラークラスやその期待をかけられた選手がつける番号であり、どの球団も過去につけた選手を見るとそうそうたる名前が並ぶ。とはいえ、球団によっても番号の重さに微妙な違いがあるのだ。