キヤノンが治療分野への進出に意欲を示し、ヘルスケア業界がざわついています。『週刊ダイヤモンド』1月19日号の第2特集は、「電機・精密・車 ヘルスケア争奪戦」。キヤノンが旧東芝メディカルシステムズを買収して医療機器に本格参入するなど電機・精密・自動車関連メーカーで近年相次ぐヘルスケア事業への進出状況をまとめ、その深層に迫りました。番外編最終回として、世界初の実用化した胃カメラを開発した国内医療機器最大手、オリンパスの取締役専務執行役員で医療事業統括役員の田口晶弘氏のインタビューをお届けします。(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)

オリンパスの田口晶弘取締役
オリンパスの田口晶弘取締役
Photo by Masataka Tsuchimoto

――2018年末に笹宏行社長へ本誌が行ったインタビューの中で、欧州の安全規制強化を懸念材料に挙げられました。その真意は?

 EUMDR(欧州医療機器規則)ですね。もともと製品登録の際に必要な認定ルールはありましたが、それが大きく変わります。医療機器のクラスによって20年からだったり、22年からだったり。今売っている製品も、新しい規格で認定を取り直さないといけません。

――でもそれは、すべての医療機器メーカーに共通する課題ですよね?

 オリンパスは、欧州で売っている点数が他社に比べて多いのです。内視鏡は種類が多いし、ライフタイムが長い。かなりの数で対応しないといけません。技術レポートを出さないといけないのですが、内容的にかなりたくさん、しかも英語で出さないといけません。製品のことが分かっている技術者や品質メンバーを規制対応に割かなければならないため、その分、新商品の開発も遅れます。開発費のコスト増よりも、人的資源の逼迫の方が深刻です。

――世界的にも規制は強まっていますか?