ドナルド・トランプ米大統領は2018年の最後の日、インド太平洋地域における米国の役割強化を狙った法案に署名した。この「アジア再保証イニシアチブ法」は、米国の地域的国益について極めて包括的に記している。日本、インド、韓国、台湾といった東アジアおよび東南アジアの同盟国・地域に対する軍事・外交・経済的関与を強める費用として、2023年まで年間15億ドル(約1600億円)の支出を承認している。オバマ政権の大々的に宣伝されたアジア「ピボット(旋回)」戦略と違い、トランプ氏のアジア戦略は中国をいら立たせているようだ。トランプ氏は、米国を世界の舞台から撤退させ、米国主導の世界秩序を乱したとして日常的に批判を浴びているが、同氏のアジアでの目標は共和、民主両党の歴代政権が掲げた目標と一致している。それは、トランプ政権の言う「自由で開かれたインド太平洋」を維持することだ。トランプ氏は精力的にこの目標を追い求め、1970年代にさかのぼる対インド太平洋政策の相当部分を覆した。中国からの輸入品2500億ドル相当に関税を課すと決め、中国が公正な貿易相手国だという作り話にワシントンが見切りをつけつつあることを明確にした。また米軍は「航行の自由」作戦や中国が南シナ海に新設した基地近くでの飛行を増やしている。
【寄稿】トランプ氏の正しいアジア旋回
米国の同盟諸国を少なくとも当面は安心させる内容
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