フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない
INDIO。カラーバリエーションはBLACK(左)とBLONDE(右)

 フェンダーが新しいBluetoothスピーカー「INDIO(インディオ)」 を発表した。既存の「NEWPORT」と「MONTEREY」の中間サイズで、バッテリーを内蔵したポータブル機。サイズは幅24.5×奥行12.2× 高さ21.6cmと小型ながら、約4kgと比較的重い。

 製品名は、南カリフォルニアのコーアチェラ・バレーにある都市にちなんだもの。インディオは世界屈指のロックフェスが開催されることでも知られている。

 後発モデルらしくBluetooth周りの機能は上位モデルよりも進んでいて、スマートフォンの通話と選曲操作に対応し、2台の INDIO をワイヤレスでチェーン接続する「DUO」モードもある。市場想定価格は税込3万9980円と決して安くはないが、魅力は外観の作り込みと、いかにも「らしい」出音にある。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない
MONTEREY(奥)INDIO(中)NEWPORT(前)

色だけでないBLACKとBLONDEの違い

 外装材はギターアンプと同じシボ付きのトーレックスを張り込んだもの。一見すると楽屋や練習に使うリハーサルアンプのようだが、ギターを直接接続することはできないイケズ仕様なのは相変わらず。そろそろ観念してモデリングアンプくらいオマケに付けたらどうだろう。

 背面にAUX INのミニジャックが付いているので、VOXのamPlugなんかを接続するには便利そうだが、フェンダーのアンプをそんな風に使うのも、なんだか気が引ける。

 それはさておき、BLACKとBLONDEは外装色だけではなく、パーツも細かく変えているのがおもしろい。違う部分は、フロントグリルの模様とメインパネルの色、そしてノブとキャリングハンドルの形状だ。機能上の差はないが、BLONDEのハンドルの方が、太さ柔らかさが適切で持ちやすいように感じた。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

 もちろんパーツの違いは、有名なフェンダーのヴィンテージアンプの意匠に寄せたもの。どのモデルを模したものかは各自推察して楽しんでほしいが、歴史的なシグネチャーサウンドを模したアンプモデルを入れ、ギターが接続できればさらに良かった。しつこいようだが、ここはダメを押しておきたい。

 電源は付属のACアダプターを介してDC15Vを供給する。ACアダプターの接続中は内蔵バッテリーの充電もし、背面にはバッテリーの充電状態を示すLEDインジケーターが付いている。バッテリーの持ち時間は最大25時間。背面のUSBポートはスマートフォンの充電用で、USBインターフェース機能があるわけではない。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

パワーで押しまくるトルク感のある低域

 スピーカー構成は、上位機種であるMONTEREYの縮小版という感じだ。88.9mm径ウーファー2基、16mm径ツィーター2基の2ウェイ4スピーカー。合計出力60Wという、このサイズとしては強大と言えるパワーで駆動。それを受け止めるのが、ギターアンプのように木質素材で造られた、頑丈な密閉型キャビネットだ。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

 フェンダーの企画・設計者はよほど頑固者が揃っているのか、このサイズのスピーカーで常態化したパッシブラジエーターは使わない方針のようだ。パッシブラジエーターは共振周波数を下げ、ボトムエンドを盛る効果は強力だが、ややもすると輪郭のぼやけた制動感のない低域になりがちだ。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

 代わりに木質の頑丈な密閉型キャビネットを使い、パワーをかけてスピーカーユニットを駆動するという、古典的な手法でトルク感のある低域の粘り強さを演出している。力任せと言えばそのとおりだが、そこがフェンダーのブランドイメージと合致する部分であり、音作りの手法として納得させられてしまうわけである。

 パワーに余裕があるので、トレブル & ベースのトーンコントロールで調整できるゲインの幅も広い。低域をガッツリ盛った設定から、レンジの広いツイーターを生かしたクリーンサウンドまで、リスナーの好みや再生する音楽に応じて、いかようにも設定できる。

DUOモードはYouTubeには不向き

 Bluetoothスピーカーとしての機能は、内蔵マイクを使った通話と、パネル上のボタンを使った選曲操作(再生一時停止、曲送り戻し)に対応。音声コーデックはAAC、aptXにも対応している。最新のBluetoothスピーカーらしく、動画再生時の遅延は気にならない。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

 見どころは、2台のINDIOをワイヤレス接続して、同時に鳴らす「DUO」モード。他社製品では珍しくない機能だが、フェンダーでは初となる。これを使うために2台買うか、同じものを持っている友達を呼ぶ必要はあるが、もし2台揃った場合は、音のスケールが確実に広がる。

 DUOモードでは、モノラルで2台を鳴らす「PARTY」モードと、L/Rチャンネルを割り振ってステレオ接続する「STEREO」モードが選べる。ポイントは、2台接続しても音量やトーンコントロールは同期しないこと。各々バラバラに設定できるので、モノラルの場合はスピーカーを置く場所によって音量や音質を変えられるから、便利かもしれない。

 ただ、この手の機能で気になるのは、YouTubeのような動画再生時の音声遅延。やはり、この製品でも四分音符1つか2つくらい音声が遅れてしまう。残念ながら映画鑑賞やミュージックビデオの再生には向かない。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

既存機種にもツイード風アンプが

 今回のINDIO発売に合わせて、既存の大小2機種にも手が入った。主にカラーバリエーションで、小型のNEWPORTには従来のブラックのほかに「Dakota Red」と「Sonic Blue」を追加。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

 大型のMONTEREYには「Tweed」が追加されている。単なる色違いではなく、フェンダーロゴはオールド風、ノブはチキンヘッド、インジケーターランプも赤に変更。このあたりの意匠の差は、INDIOのBLACKとBLONDEの違いに近いが、こちらの方がより「本物」っぽく、ツイードアンプに寄せてある。これはすごくカッコいい。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

 機能面ではキャリングハンドルの追加がうれしい。MONTEREYは6.8kgの重量級スピーカーでありながら、従来モデルは持つところがないので苦労した。ブラックモデルにはなんの変更もないようなので、特にブラックフェイス期のフェンダーに思い入れがないのであれば、Tweedカラーの方をおすすめしたい。

フェンダー新Bluetoothスピーカーはおしゃれで選んでも損はない

お願い、ギターをつながせて

 オーディオ的に理詰めで作られた製品で、いくら音が良かったとしても、一般的なユーザーにはなかなか訴求力を持てない。

 特にこのサイズのBluetoothスピーカーの場合は、いくらがんばったところで限界はある。だから「サイズの割に低音出るよね」くらいの納得感があれば、あとは価格次第ということになり、おかげでおもしろい製品もすっかり見られなくなってしまった。

 この製品の良さは、フェンダーらしく鳴るように、フェンダーらしく設計されたスピーカーという点に尽きる。「らしくていいよね」と感じられる出音の説得力は、Bluetoothスピーカーのように平準化した製品ジャンルでは、得難い強みだと思う。

 なにも知らない人が、見た目のカッコ良さ、おもしろさで選んでも、決して損はしない。それはフェンダーブランドがなければできないことだ。

 あとはモデリングアンプの内蔵、ギターのインプットジャックをぜひお願いしたい。日本語で書いても通じないかもしれないが、全ギター人類に成り代わってお願いする。

四本 淑三(よつもと としみ)

北海道の建設会社で働く兼業テキストファイル製造業者。