東証マザーズで時価総額トップだったバイオベンチャー「サンバイオ」が1月30日以降株価を大きく下げている。他のバイオ関連銘柄も下落し、“サンバイオ・ショック”なる言葉も飛び出した。きっかけは1月29日に発表した治験の失敗。開発中の再生細胞医薬品「SB623」が、米国での慢性期脳梗塞患者対象の第2相臨床試験で主要評価項目を達成できなかったのだ。森敬太社長が本誌の緊急インタビューに応じた。(「週刊ダイヤモンド」記者・土本匡孝)

サンバイオの森敬太社長森敬太・サンバイオ社長 Photo by Masataka Tsuchimoto

——まずは夢の薬だと期待されている再生細胞医薬品「SB623」について、簡単に教えてください。

 再生医療の中でも、栄養因子と呼ばれているものです。患者が元々持っている「神経が再生する能力」に対して、SB623が働きかけて、患者の脳を回復するというメカニズムです。損傷部位の周りに、注射で直接投与します。

 慢性期脳梗塞(米国)、慢性期外傷性脳損傷(日米)で治験を始めています。慢性期脳出血(日米)でも治験をする予定です。いずれも根本的治療はまったく無かった分野ですので、患者は本当に新薬を待っています。

 なぜSB623が夢の薬と呼ばれるか。脳を再生させる薬がまったくなかったからです。この100年間、「人の脳は再生しない」が定説だったのです。その常識を覆すべく、私たちはやってきました。

——1月29日の発表は、投資家にとってネガティブサブライズ。なぜなら2018年11月に発表した慢性期外傷性脳損傷の日米グローバル第2相臨床試験では良好な結果を得られており、「慢性期脳梗塞でもクリアするのでは」との期待感が高かったからです。(*医療用医薬品として国に承認されるためには、適応症ごとに第1相〜第3相臨床試験をクリアしていかなければならない)