高齢期の資産管理はどの世代にとっても大きな課題だが、特に団塊の世代は「そろそろ準備をしておかなければならない」時期に差し掛かっていると言えよう。本稿では、特に資産の運用に関して、団塊の世代をはじめとする高齢者が、今後どうしたらいいのかについてお伝えしたい。

課題1 金融マンからの独立

 さて、団塊の世代が今後の資産運用を考える上で、気をつけたいポイントが3つある。課題が生じる時間順に挙げると、(1)投資勧誘に応じて間違った運用をしないこと、(2)後期高齢期にあっても効率のいい運用を維持すること、(3)認知機能が衰える可能性に対して備えておくことの3点だ。

 高齢者が保有する資産が増えることは、金融機関にとっても大きな問題だ。日本証券業協会は「高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン」で、会員証券会社に対し、高齢者への投資勧誘に対する社内規定を設けることを求めている。この文書のQ&Aの中で、高齢者の定義について「年齢の目安としては、75歳以上の顧客を対象とし、その中でもより慎重な勧誘によ る販売を行う必要がある顧客を80歳以上の顧客とすることが考えられます」と述べている。端的に言って、顧客が75歳、あるいは80歳を超えると、営業がやりにくくなるのだ。

 大手金融機関が近年、ジェロントロジー(老年学)研究に関心を示している背景には、「高齢でも投資勧誘の対象にしていい顧客」を見分けて根拠づける方法を見つけたいという動機があるように思われる。

 現在70歳前後で金融資産を潤沢に持っている団塊の世代は、金融機関にとって格好の営業ターゲットだ。取引を決断できる程度の判断能力があることが、かえってあだになり、不適切な運用商品に投資してしまう心配が大きい。

 昨年3月に投資信託を販売する金融機関が金融庁に提出したデータを見ると、各社の預かり残高上位20の銘柄に関して手数料コスト(販売手数料と信託報酬の合計。年率換算)を見ると、対面営業の大手証券で2%台前半、主要銀行で2%内外、ネット証券で1%台前半となっている。

 資産運用に掛ける費用として年間2%は明らかに「高い!」し、個々の顧客によってはもっと支払っているケースがあるだろう。公平を期するためにもう一言付け加えると(注:筆者はネット証券に勤めている)、ネット証券大手各社に顧客が払っている手数料コスト(1.0〜1.3%)も高過ぎる。