民主党が先週公表した包括的な環境保護対策案「グリーン・ニューディール」は、実際には2つのディールに分けられる。1つは地球温暖化を食い止めること、もう1つは数百万人分の高賃金雇用を特定の集団のために生み出すことだ。個別にみればいずれの目標もメリットがある。だが両者を組み合わせることで、気候変動への対策はばかばかしいほど費用がかさみ、党派間に深い亀裂を生むものになりそうだ。それゆえ気候問題を前進させるより、後退させる可能性がより高いだろう。グリーン・ニューディールの理論的な根拠は正しい。10年後の地球が自然発火することはないにせよ、1800年代に比べて気温をセ氏1.5度以内の上昇に抑えるためには、世界中の二酸化炭素(CO2)排出量を今すぐ大幅に削減し始めることが必要だ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はこう警告する。その範囲を超えて気温が上昇すると、異常気象や命を脅かすほどの暑さ、海水面の上昇などを引き起こす可能性が高まる。
非現実的な米民主党の温暖化対策「ニューディール」
目的は立派だが、費用が高すぎる
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