60代前半で「がん」になり働けなくなったら、年金を繰り上げ受給すべきでしょうか?
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「年金がもらえるまでには、あと1年以上あります。でも、肺がんの治療中で、これ以上働くのは正直きつい……。だから、早めに年金をもらって仕事を辞めようと思っているんです」

 こう話すAさんは、現在61歳。大学卒業後、38年間勤めた食品メーカーを60歳で定年退職したが、その後も嘱託職員として継続雇用されている。収入は、定年前の3分の1に減ったが、肺がん治療のため医療費の負担は増えている。

 現在は、肺がんの治療のため休職中で、健康保険の傷病手当金をもらいながら生活しているが、それもあと6ヵ月で切れてしまう。そもそも、仕事に戻りたくても、がんの治療をしている自分が、雇用継続してもらえるかどうかも分からない。

 そのため、Aさんは、傷病手当金の給付期間が終わったら、老齢年金を繰り上げ受給することを考えているというのだ。

 だが、社会保険労務士の石田周平さんは、「繰り上げ受給は、本来の支給開始年齢よりも早く老齢年金を手にできる反面、デメリットもあるので慎重に行うべき」だという。

老齢年金を繰り上げると
1ヵ月あたり0.5%減額される

 現在、老齢年金の受給開始年齢は、原則的に65歳からとなっている。ただし、本人が希望すれば、60~64歳の間にもらい始めることは可能で、これを「繰り上げ受給」という。

 反対に、「年金をもらうのは、もっと年をとってからでもよい」という場合は、受給開始年齢を66歳以降にずらす「繰り下げ受給」という制度もある。