働き方改革の対応策として、深夜や休日のメール禁止というルールが設けられるケースがある。このルールは結局、夕方や金曜、月曜朝一番のメールを増やすだけだから、時間外労働の抑制、ストレス緩和には限界がある。一律のルールではなく、メールを受信する側のスキル向上が不可欠なのだ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
深夜・休日のメール禁止が
夕方のメールを増やす
4月の働き方改革関連法案の施行を前に、企業では、過長勤務の抑制、生産性向上のための対策が取られている。対策のひとつに、深夜や休日のメール禁止というものがある。本当に緊急だったら電話をするということをルール化し、勤務時間外のメールをなくしていこうという取り組みだ。
送信した側に、直ちに実施してほしいという意図がなかったとしても、受信した側は、わざわざ時間外に送信してきたのだから、急いでいるのだろうと気をまわして、仕事モードに入ってしまうかもしれない。そして、時間外労働や休日労働を誘発する。
ただでさえ勤務時間外のメールは、メールを受信するだけでドキッとさせられ、ストレスを発生する原因になる。だから勤務時間外のメール禁止は、時間外労働を抑制しストレス緩和に役立つに違いない、という考えなのだろう。
勤務時間外のメール禁止が広がって、確かに、深夜や休日の受信メールは、以前に比べて格段に減少した。結果、オン・オフをはっきりすることができて、効果を上げているように思える。
しかし、その分、平日の夕方にメールを受信することが増えてきている。中には、たいてい決まって、金曜の夕方にメールをしてくる人がいる。また、月曜の朝9時ちょうどに送信してくる人もいる。たぶん、送信予約をしているのだろう。
きっと、勤務時間外にメールしないようにという配慮で、そうしてくれているのだろうと感謝しつつ、平日なら夕方、もしくは金曜に集中するのは、日中忙しかったのだろう、今週も忙しかったのだろうと推察している。
私だけに夕方にメールしているとは思えないので、他の人も、受信時間が多少前後していても、同様の時間帯に受信しているに違いない。しかし、勤務時間内とはいえ、夕方にメールを受信して、それからメールを返信したり、そのメールの内容の仕事にとりかかったりする人もいるに違いない。中には、金曜の夕方に受信すれば、土日に、その仕事をしてしまおうという人もいないとは限らない。また、月曜朝一番のメールをストレスに感じる人もいるだろう。