「仲間のためを思って突出する」
重要さを伝える

私が、新人研修で伝えているのは、「突出人材が仲間のレベルを引き上げる」ということです。
今の世代は、周りを蹴落として自分だけ目立てと言っても、全く共感しません。
そうではなく、自分が突出することで仲間の皆も引き上げられるという、仲間への貢献にもなるというアプローチです。

実際、プロ野球の世代では「松坂世代」という言葉が使われています。
松坂大輔と同世代の選手が、プロ野球の世界では沢山活躍したのです。
突出した人材が出ることで回りも刺激され、レベルが引き上げられるのです。
同世代だけでなく、日本の水泳が強くなったきっかけとしては、北島康介の存在があります。
日本の選手が、大きな身体の外国人選手と堂々と勝負をして、金メダルを取ったり、世界記録をバンバン更新する姿を見て、「自分たちにだってできる!」とレベルが引き上げられるのです。
また、世界一の選手を身近に見て学ぶことで、世界のレベルを知り、実践もできるのです。

このように、突出人材が周りの力を引き合上げ、その結果、組織のパフォーマンスを大きく上げるのです。

横並び感覚は、軋轢も生みませんが、成果も生まれません。
狙って突出人材を作ることが組織成果にも繋がるのですが、世の中的にはどうしても横並び教育をしてしまいます。

ですから新人にはこう伝えます。
「横並びからは何も生まれません。本当に仲間の為になりたいなら、実力がある人は突き抜けてください。あなたが突き抜けることで仲間にも良い影響を与え、仲間も一緒に引き上げることになります。本当の貢献とは、自分の持っている実力をいかんなく発揮することです」

実際に、実力があるのにあまり前に出てこない新人に理由を問うと、「自分だけ前に出ちゃうと周りに迷惑が掛かるし、他の人を抑えることになるから…」と半ば本気で答えます。

自分の実力を抑えるほど、あなたはすごくないよ…とも言いたくなりますが、これも仲間を想う気持ち半分、自分を守る気持ち半分なのでしょう。

組織の中では本当は突出人材なのに、「あいつだけ目立つ」と言って頭を押さえつけようとする人も実際にいます。
これは、組織にとってはマイナスの行為です。
意識して突出人材を作ることで、組織全体の底上げを図りましょう。

横並び、仲間意識が強い新人から<br />突出した人材を育てるには?羽田 徹(はだ とおる)
話し方コンサルタント・トップ講師プロデューサー・株式会社web-school.tv代表取締役
大学生の頃よりラジオDJを始め、1998年に大阪人気No.1のFM802主催の新人DJオーディションに合格。その後FM愛知や文化放送でラジオオDJとして10年間活動。番組降板により挫折し不動産投資会社の営業に転職。話し方を武器にさらに営業力を磨き、2年目にトップ営業になる。2008年にはその営業力が認められ倒産寸前だったロープライス眼鏡会社の取締役営業本部長に就任し、当時64店舗から110店舗への躍進を支える。またインターネットカフェ最大手にて社外取締役を歴任。2012年、ラジオDJとしての話し方の技術、営業力、組織マネジメント力、経営経験などを生かし、組織人事コンサルタント会社のリンクアンドモチベーションにてナビゲーター(研修講師)、ファシリテーターとして活動。大手企業からベンチャーまで年間100件以上登壇、延べ2万人以上の人たちと接する。研 修講師の採用や育成の責任者も兼任。新人やマネジメント研修、エグゼクティブへのスピーチ・プレゼン指導、組織活性ワークショップ、働き方改革の為のロジカルシンキング講座などを得意とする。自身の経験から「学びでこの世界を豊かにする」を理念として活動中。著書に『ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本』(同文舘出版)がある。社会人のための「話し方動画教室オンライン」運営。