キノシタファーム代表の木下健司さん
木下さんは青年農業者グループ、4Hクラブの大阪府会長を務めた。こうした役職が経営に役立つことも
Photo by Takahisa Suzuki

『週刊ダイヤモンド』3月9日号の第1特集は「小規模農家こそ勝機あり 儲かる農業2019」です。本誌は例年、モデルとなる大規模農家を紹介してきました。今年は趣向を変え、小規模でも高収益な農家を重点的に取材。他人から支配されることなく、自分の責任で事業をやって稼ぎたい――。そんな経営者の理想を実現する「中小キラリ農業」に近づくにはどうすればいいのか、都市で農業を営み高収益を得る“秘訣”をまとめました。(本記事は特集からの抜粋です)

 中小キラリ農家1位に輝いたのは大阪府のキノシタファームだ。わずか1ヘクタールの借地で3500万円の売上高を誇るが、収益の大半を占めるのが、農地の半分の約0.5ヘクタールで栽培するミニトマトだという。

 代表の木下健司さん(40歳)は、29歳で就農するまで大手製紙会社の営業マンだった。専業農家の実家を手伝っていたある時、袋(バッグ)の中にトマトの苗を直接植えて栽培するバッグ栽培という手法を知る。

 バッグの中にはカツオや昆布など有機質のみを配合した土が詰まっており、畑を耕す必要がない。

「これなら自分でもできる。難しい土作りは、その道のプロに任せればいい」。木下さんは早速バッグ栽培を始める。

 トマトは一般的に夏場に収穫量が落ち、糖度も下がる。だがバッグ栽培の強みは、年間を通じて安定した収量の生産ができ、外部の土壌の影響を受けないため均一の品質を保てることにある。

 そこで木下さんは、「通年糖度8以上」「安定供給が可能」という自社の強みを武器に、独自販路の開拓に奔走する。