イランのハッサン・ロウハニ大統領は、隣国イラクへの初の公式訪問で経済関係の強化を目指している。イランの周辺地域への影響力抑制に取り組む米国をけん制する狙いがある。イランが現在、外交政策で最も重視しているのが、かつての敵国イラクとの関係強化だ。米国は後に対イラン制裁を再開。その影響を軽減するため、イランはイラクから支援を取り付けようとしている。イラクは主要産油国だが、電力の40%以上を依然、イランからの輸入天然ガスに依存している。イラク国内では昨年、電力供給不足を原因とする広範な抗議デモが行われた。イラクが3年にわたる戦いを経て自国領域から過激派組織「イスラム国」(IS)を掃討する上でも、イラン民兵が支援した。約1450キロメートルにわたって国境を接し、イスラム教シーア派が国民の過半数を占める両国は、2003年の米国のイラク侵攻以来、関係を緊密化している。