NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、テレビで話題沸騰の「伝説の家政婦」志麻さん。3/18にはテレビ朝日系の「スーパーJチャンネル」、3/24にはNHK「うまいッ!」にも出演。
あの志麻さんが、初めて書きおろした料理エッセイ・レシピ本、『厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31』が発売たちまち重版となり、話題沸騰中だという。
レシピの背景にある波乱万丈のエピソードとともに、調理のコツも凝縮。ふだん家で食べたことのない「フランスのママン直伝のキッシュ」「梨リングフライ」「龍馬チョコレート」は絶品。
さらに、「母の手づくり餃子」「おばあちゃんのお煮しめ」「けんちょう(山口の郷土料理)」のなつかしの味から、「ゆで鶏のシュープレームソース」「豚肉のソテーシャルキュティエールソース」「子羊のナヴァラン」「ローストチキン」などのフランス家庭料理、「フォンダンショコラ」「カトリーヌ先生のそば粉のクレープ」などのデザート、1歳の息子お気に入りの「鶏手羽元のポトフ」まで、実に多彩なレシピがあるという。「3時間で15品」など、これまでのイメージとはまったく違う志麻さんが、あなたの前に突如、出現するかもしれない。
今回、本書の装丁・デザインを担当したパワーハウスの平本祐子さんを直撃。志麻さんとの初めてのお仕事で何を感じたか。その実像に迫った突撃対談レポート後篇をお届けする(撮影・三木麻奈、取材/文・寺田庸二)。

「伝説の家政婦・志麻さん」の<br />「感動4品」を<br />デザイナーがはじめて語った!

私の「感動4品」はコレ

編集:前回、装丁・デザインを担当された、パワーハウスの平本さんには、志麻さんとの初対面エピソードをいろいろ伺いました。
 今回の書籍タイトルは『厨房から台所へ』ですが、台所といえば、志麻さんの料理で「感動したベスト3」ってありますか? 「感動三品」をカメラマンの三木さんにも連載第11回で聞いたので、平本さんにもお聞きしたいです。

平本:「梨リングフライ」「豚肉と梨の赤ワイン煮」「じゃがいものピュレの肉巻き」、もう一つおまけに「ローストチキン」でしょうか。

編集:おお!「感動4品」になりました!笑
 まずは、「梨リングフライ」ですが、どんな印象でしたか?

梨リングフライ

平本:とにかく梨の使い方にびっくりです。メインディッシュになることにまず驚いたのですが、なんともいえないジューシーさ。ほんのり甘さがあって揚げ物だけど重すぎない。豚バラと梨が出逢うと本当に相性がいいんだと実感しました。

編集:志麻さんもこの本の中でおっしゃっていますね。
「豚肉と相性のよい梨。梨の形を活かしてリング状に切り、豚肉を巻いて衣をつけて揚げるだけ。ひと口嚙むと、肉汁のように果汁があふれて、ボリュームたっぷりの一品」だと。

平本:なによりも、レシピのシンプルさを見たら、「これなら私でもつくれそう!魅力的!」と思ってしまいました。

編集:まさにそうですよね。私は「あんなに少ない油でこんなにおいしくできるんだ」とびっくりしながら調理を眺めていました。デザートのイメージの梨が主役のメインディッシュに登場するギャップもあって、サクサク何個も食べたのを昨日のように思い出します。
 では、次に「豚肉と梨の赤ワイン煮」の印象はどうでしたか?

豚肉と梨の赤ワイン煮

平本:とにかく肉のうまみが梨に浸み込んでいる! そしてなによりもつけあわせの「じゃがいものピュレ」がとにかくおいしい。ピュレがなめらかで重くないのがすごい。それでいて存在感がちゃんとあるんですよね。じゃがいもがこんな風に変身するんだと感動しました。

編集:志麻さんはじゃがいもの魔術師ですからね。処女作『志麻さんのプレミアムな作りおき』でわが家の子どもたちも大好きな「アッシ・パルマンティエ」がありましたが、あのレシピも、じゃがいものピュレをふんだんに使ったフランス家庭料理でしたね。

アッシ・パルマンティエ

 たしかに、今回の料理でも、じゃがいものピュレとあわせて、この赤ワイン煮を食べると本当においしかったですね。

平本:そのサブ的存在、伏兵的存在と思いきや、メインプレーヤーに進出したのが、本書の最後のレシピ「じゃがいものピュレの肉巻き」ですよね。これもおいしかったなあ。

「伝説の家政婦・志麻さん」の<br />「感動4品」を<br />デザイナーがはじめて語った!

編集:そうですよね。ごはんもビールもワインも進む、すすむ。ヤバかったですね。
 最後に「ローストチキン」の印象を聞かせてください。このローストチキンは本書の装丁のオビの写真にもありますね。

ローストチキン

平本:はい。これは志麻さん邸から帰る間際に食べたレシピでしたが、「これだけ食べて行ってください。胸とモモ、どっちがいいですか?」と聞かれて、食べたレシピです。丸鶏をまるごと一羽使っていますから、できたときの雰囲気がパーティ感でいっぱいでしたよね。

編集:はい、そうでした!

平本:みんなでどこの部位がいい? と会話を楽しみながら、わいわいとパーティに最適なレシピ。また、見た目もすごく素敵。志麻さんがフランスで購入された食器の黄色と丸鶏の照り加減がほんとうに素晴らしかったですね。