現在の医療現場は女医には厳しい
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医療系の有志学生が「入試差別をなくそう!緊急アピール」を展開している。昨年、女子学生と多浪生への入試差別について文部科学省が緊急調査し、各大学が自主的に対応しているが、公表する大学、公表しない大学に挟まれ、受験生は不安感と怒りをあらわにする。特に女子学生への入試差別の根底には、女性医師が結婚・出産を経た後、現場復帰が難しい“時代錯誤の男性社会”が基盤にある。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

24時間、365日働けない者は外科医にあらず

 医学部の女子学生への入試差別では、大学関係者が「女性は医師になっても、結婚や出産で辞めてしまう」「卒業生は系列病院で働く人が多いため、医師不足にならないよう調整している」と答えた。特に「外科は男性の仕事だから、外科を目指す男子学生が必要」という声もあがった。

 外科はこの10年間で医師数が3分の2まで減少している(*1)。外科医の平均年齢は50歳に届くほど高齢化し(*1)、10年後の診療体制は危機的状況に陥るとまでいわれている。そのなかでも、外科の女性医師の割合は年々約2割近くで推移する(*2)。高槻赤十字病院の外科医師で、「消化器外科女性医師の活躍を応援する会」役員の河野恵美子さんは「10年後、女性医師の活躍なくしては、とても外科診療を維持できない」と断言する。

 だが、河野医師は「こんなに外科医の仕事が好きなのに」と泣きながら辞めていく女性医師を何人も見てきた。女性医師が外科医を続けられない理由を「医療現場の常識は、24時間、365日働けない者は外科医として認められないからです」と河野医師は言う。「患者や家族はいつでも主治医が病院にいて対応してくれることを希望し、対応しなければ不信感を抱く。看護師等の病院の医療者も、主治医が対応しなければならないと思っている。土日休暇を取ると不信感を抱く。上司からそう教えられてきたので、『達成できないなら、外科医を続けてはいけない』と自分自身も周囲も思い込んでいます」と説明する。

*1 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
*2 日本外科学会における新規入会者数の女性の割合