足元では、株高の一方で同時に米国経済の減速を示唆する統計が発表される状況だが、中でも、住宅市場の減速は顕著である。

 30年の住宅ローン金利は5%に近づいた後、足元で低下してきてはいるものの、2018年5月に10年債利回りが3%を上回っていた当時とほぼ変わらない4.5%近傍で下げ渋っていることが分かる。

 中長期債と超長期債の利回りスプレッドが拡大している分、30年の住宅ローン金利が下げ切れないでいる状況と説明できるが、これでは利上げ見送りの効果も半減してしまう。

 減速が続く米国の住宅市場においてはローン金利高止まりとともに住宅価格の割高化も指摘され始めている。価格の下落が先に生じた場合、家計が保有する住宅の価格下落が逆資産効果で個人消費を抑制する可能性も低くはない。

 FRBは保有資産の見直しも視野に入れており、MBS(住宅ローン担保証券)の償還分を国債で再投資することを計画している。

 このことも国債利回り対比での住宅ローン金利の上昇を促すと予想される。FRBが利上げ停止宣言によって生じた株高に甘んじ、一方で住宅ローン金利の上昇を見過ごした結果、景気減速の種が膨らんでいくリスクにも留意が必要である。もちろん景気減速懸念から株安が進行すれば、おのずと30年債利回りは低下していこう。

(SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎)