今、日本だけでなく世界で話題のノート術がある。その名は「バレットジャーナル」。ビジネスパーソンから主婦、学生まで、多くの人たちから熱狂的に支持されるノート術には、今までにはない、ある大きな特徴がある。それは、日々のタスクを効率よくこなせるだけでなく、毎日の成長を強く実感できることだ。本連載では、発案者であるライダー・キャロル氏が書き下ろした初の公式ガイド『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』の刊行を記念して、著名なバレットジャーナル・ユーザーや専門家たちに寄稿してもらう。今回は、文具ソムリエールとして大活躍する菅未里さんが、これまでのノート術とは大きく違う、バレットジャーナルの魅力を語る。

自己嫌悪という大敵

菅 未里(かん・みさと)
文具ソムリエール
大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職し文房具売り場担当となる。現在は、商品企画、売場企画、文房具の紹介、コラム執筆、企業コンサルティングなどの活動を行っている。

 私はものを覚えることが苦手だ。やらなければいけないことや、会った人の名前、会った際の出来事など、覚えておかなければいけないことをすぐに忘れてしまう。

 もの覚えが悪いことは二重で問題である。

 第一には、もちろん抜け漏れが多いこと。仕事でも、プライベートでもだ。しかしそれだけではない。第二に、自己嫌悪に陥って、モチベーションが落ちてしまうことも問題なのだ。牛乳を買うことを忘れて帰ってしまったときや、二度目にお会いする方の名前を思い出せず失礼をしてしまったとき。そのことが問題であることは言うまでもないが、落ち込んでしまうことも、忘れたこと以上に問題ではないか。

 そんな悩みを持っている人は私だけではなく、日本中に、いや、世界中にたくさんいるらしい。なぜなら、忘れっぽい人を対象にした、あるノート術が世界的にブームだからだ。

注意欠陥障害の方がはじめたノート術

「バレットジャーナル」というノート術が世界的に話題になっている。米国のライダー・キャロルという方が考案したもので、日本でもおととしくらいから流行りはじめている。

 キャロル氏は、注意欠陥障害(ADD)を持っている。いわゆるADHD(注意欠陥・多動性障害)とは異なり、多動性や衝動性はないのだが、不注意だけが問題になるケースだ。そのキャロル氏が、自らの不注意を乗り越えようと考案したノート術がバレットジャーナルなのだが、これが一般の人々にも便利だということで一気に広まったのである。

脳への負担を減らすノート術

 バレットジャーナルの特徴は大きく3つ。箇条書きでとても簡潔な書き方をすることと、タスクの状態を記号で表現すること、そしてスケジュール・メモ・日記をすべて1冊のノートにまとめてしまう点だ。

 箇条書きなので、作文能力を問わず、何も考えずにさっと書くことができるというメリットがある。さらに、後で見るときにわかりやすい。記号を使うのも同様。だとえば、「・」はToDoリストを意味する、という具合にルールがあるから、見ただけですぐに頭に入ってくる。長い文を書き、読むというのはかなりの負担なのだ。

 また、一冊のノートにすべての情報をまとめるので、見落とす心配が要らない。ものごとを覚えることや、記録したものごとを検索することもかなりの労力を必要とする作業なのだが、バレットジャーナルなら「この一冊だけ書けば/読めば大丈夫」という安心感がある。

 他にも細かい特徴はあるのだが、全体として、「脳への負担を減らすノート術」がバレットジャーナルだと言っていいだろう。具体的な方法は『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』(ダイヤモンド社)に詳しいが、別に難しくはない。ルールは最小限だし、ノートはなんでもよい。最近はバレットジャーナル用のフォーマットを作ったシールも売り出されているので、それを買えばすぐにはじめられる。

 このように便利なバレットジャーナルは、ビジネスパーソンにも強くお薦めできる。だが、便利なだけでは既存のノート術と同じではないか、と思われるかもしれない。そこで、バレットジャーナルには今までのノート術にはない、ある特徴があることも記しておこう。