チーム内の「連絡」もテンプレートで最速化

 対外的なメールだけではありません。
 チーム内での業務連絡もテンプレート化しておくと効率化が進みます。
 下図の[1]は、「営業のアポイント」を同行者やチームと共有するためのテンプレートです。このように「営業先」「所要時間」「入り時間」「先方担当者の部署・氏名・電話番号」「事前資料の有無」などの記入項目を明確にしておけば、それを埋めるだけですからスピーディですし、確認事項の「抜け漏れ」もなくなります。

図32−3

 さらに、急病やトラブル対応で、担当者が急遽、営業に行けなくなったときも、他のメンバーが必要事項をすぐに確認できるので、即座にフォローすることができます。

 上図の[2]は、他のメンバーに「作業依頼」するときのテンプレートです。
 ここでも、「抜け漏れ」があると、依頼された人は内容を確認するのに骨が折れますし、場合によっては、情報が不足していて、依頼された作業を行えないこともあるでしょう。テンプレート化することによって「抜け漏れ」をなくせば、そのような事態をふせぐことができるのです。

テンプレート化の「投資効率」は優れている

職場全体で「日常業務のムダ」を劇的に減らすシンプルな方法小室淑恵(こむろ・よしえ)
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長(https://work-life-b.co.jp/
2006年に起業し、働き方改革コンサルティングを約1000社に提供してきたほか、年間約200回の講演を依頼されている。クライアント企業では、業績を向上させつつ、労働時間の削減や有給休暇取得率、社員満足度、企業内出生率の改善といった成果が出ており、長時間労働体質の企業を生産性の高い組織に改革する手腕に定評がある。主催するワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座は全国で約1600人の卒業生を育成し、認定上級コンサルタントが各地域で中小企業の支援も行っている。政府の産業競争力会議民間議員、経済産業省産業構造審議会委員、文部科学省中央教育審議会委員、厚生労働省社会保障審議会年金部会委員、内閣府仕事と生活の調和に関する専門調査会委員などを歴任。著書に『働き方改革』『労働時間革命』(ともに毎日新聞出版)、『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

 このように、メール文から業務連絡、各種書類にいたるまで、できる限りテンプレート化を進めておくと、非常に大きな効果をもたらしてくれます。皆さんも、メールや業務連絡などは、日々、膨大な数を処理していることでしょう。これらをテンプレート化することで、「塵も積もれば山となる」方式で、チーム全体で非常に大きな「ムダ取り」ができるのです。

 ただ、テンプレートをつくるのは地味な作業ですし、少々手間もかかるため、メンバーが目の前の仕事に追われているとなかなか進められないものです。そこで、マネジャーが知恵を絞る必要があります。

 まず、職場の会議で、「うちのチームは、同じような内容のメールを、各自がそのつど作成していることに問題があるのではないか?」といった問題意識を共有。ディスカッションを通して、どのメールをテンプレート化するかを決定したうえで、「アクションシート」に「誰が、いつまでに、どのテンプレートをつくるか」を明記します。そして、率先してテンプレート化を進めてくれたメンバーに対して感謝を伝える……。

 このようなステップを踏んでいけば、必ずチーム全体でテンプレート化を進めていくことができるはずです。そして、たいへんなのは最初だけです。一度テンプレート化すれば、あとはコツコツと微修正を加えるだけでOK。膨大な時間を、永久に短縮し続けることができるのです。