鎌田富久氏
鎌田富久氏

鎌田:それが分かれば、私は今、投資家として大成功しているでしょう(笑)。前述のように、どの山が高くなるか? という予測は非常に難しいし、登ってみないと分からない部分が非常に多いです。

 ただ、個人的には、スタートアップとして「10年前は参入できなかったけれど、10年後に参入するのでは遅過ぎる」という分野に魅力を感じてきました。今なら、宇宙開発やライフサイエンス、IoT、ロボティクス、AIなどの分野が、これにあてはまると思います。

 こういった分野で他の人たちに先駆けて経験を積んでいると、後々大きなチャンスをつかむことができるかもしれません。近年の歴史を振り返っても、EC産業の黎明期に創業したAmazonや楽天、スマートフォンの黎明期を作ったAppleのように、「産業の始まり」にうまく居合わせた企業は後で大勝ちする傾向にあります。

 ですから、若い起業家にはよく「もし、あなたがそういう分野に『居合わせている』と感じたら、迷わず参入したほうがいい」とアドバイスしています。その分野が大きくなるかどうかは誰も分からないけれど、多少なりとも興味と見識があり、産業として立ち上がりつつあるのであれば、大勝ちする企業の一つになれる可能性があるからです。

起業は「何をやるか」ではなく、「誰とやるか」

馬田:とはいえ、そういう分野で起業すると、最初は結果が出ないでしょうし、精神的につらくなりませんか? そんな状況でも鎌田さんのようにあがき続けられる人と、途中で息切れしてしまう人の違いは何なのでしょう?

鎌田:やっぱり、仲間が大切ですよね。一緒にスタートアップをやる共同創業者なのか、違う会社の人なのかは問いません。例えば、同じ分野で頑張っている同世代の起業家が身近にいるだけでも、「一緒に頑張ろう」と思えるじゃないですか? こういう仲間の存在は、とても大きいと思います。

馬田:鎌田さんはご著書『テクノロジー・スタートアップが未来を創る:テック起業家をめざせ』(東京大学出版会)の中で、「起業で大切な10のステップ」を記していました。確か、2つ目のステップは「仲間を集める」でしたね?

鎌田:はい。良い仲間がいれば、起業は半分成功したようなものなんです。何をやるか? より、誰とやるか? が大事だと考えています。

馬田:私も今回の本で、起業における「people」の重要性、つまり仲間や人脈の大切さを説いています。鎌田さんの考える良い仲間とは、どんな人なのでしょうか?