欧州と中国の政治家には長らく、米国の単独主義に対する代替策を考案するという共通の利益があった。だが欧州はここにきて、中国に対し「愛のむち」とも言える厳しい態度へとかじを切ったようだ。これにより、対中通商協議における米国の立場が優位になる可能性がある。9日閉幕した今年の中国・欧州連合(EU)首脳会議。少なくとも中国側にとっては、欧州と結束して、トランプ米政権の闘争的な通商戦略に抵抗する姿勢示す場となるはずだった。ところが実際は、EUが対中政策において、いかに米国と同じ方向に傾いているかを浮き彫りにする結果に終わった。EUと米国も自動車や航空機を巡り、激しい応酬を展開しているにもかかわらずだ。昨年の中国・EU首脳会議後に公表された共同声明では、総じて前向きな「お飾り」の文言が並んでいた。だが今年は、EU側が声明公表の見送りも辞さない構えを示し、最終的には産業補助金を巡る規定の厳格化や技術移転の強要禁止を強調する文言が盛り込まれた。この2つの問題は、米国が対中通商協議で改善を要求している主要な争点だ。3月にはEUの執行機関である欧州委員会が、中国を極めて重要なテクノロジー産業における「経済的な競争相手」、政治的には「システミックなライバル」と位置づけた。