2月26日、世界最大の通信展示会「MWC19バルセロナ」。米半導体大手のクアルコムのブースに、世界の有力企業の幹部たちが続々と集まってきた。

 姿を見せたのは、韓国のサムスン電子や中国の小米科技、OPPOといったスマートフォンメーカーのほか、米ベライゾンやAT&T、中国移動通信といった通信会社など約30社。日本勢もソニーやNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの幹部が顔を出した。

 クアルコムが音頭を取って開催したのは、5Gの商用化を祝うイベントである。

 「2020年が始まりではあまりにも遅過ぎる。誰もそこまで待っていたくない。19年こそが、真の5Gの始まりの年だ」

 5Gの文字が大写しになった巨大なスクリーンを背景に、クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEO(最高経営責任者)は高らかにこう宣言し、シャンパングラスを傾けた。

 世界の有力企業を呼びつけることができる影響力。今年のMWCの“勝者”は誰なのかと問われれば、クアルコムだといえるような象徴的なシーンだった。

 これほどまでにクアルコムが存在感を発揮するのは、5G通信の要となる、スマホ向けの無線通信用半導体(モデムチップ)で、競合の先を行くからだ。