――筆者のマイケル・J・ルイス氏は米ウィリアムズ・カレッジで建築史を教えている。WSJ向けに建築のレビュー記事を執筆 *** パリのノートルダム大聖堂が最も愛されてきたゴシック建築であることは確かだ。火災による損壊の全容はしばらく分からないだろうが、世界の文化にとっての大惨事である。屋根を支えていた木の骨組みは13世紀の大工技術の奇跡だったが、完全に失われた。交差部の上にあった優雅な尖塔(せんとう)も焼失した。この尖塔はパリの遠景には欠かせない存在だった(ただ、尖塔は19世紀の聖堂修復時に建築家ウジェーヌ・エマニュエル・ビオレ・ル・デュクが復元したものだった)。
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