金への投資人気が離散し、今年の上げ幅が帳消しになりつつある。世界経済に対する信頼感の高まりを背景に、一般的に安全とみなされる資産の投資家離れが進んでいる。金価格は2月に10カ月ぶり高値をつけて以降、これまでに4%余り下落し、年初の水準に近づいている。地政学的な不透明感が強まる局面で選好される金の相場下落は、市場の楽観的な見方の表れだ。2018年10-12月期に市場が不安定になったことが投資家を金に駆り立てた上、広範な景気減速への懸念も高まり、金価格は年初から上昇していた。だが、米中が何カ月にもおよんだ報復関税の応酬に終止符を打つとの観測や、連邦準備制度理事会(FRB)が年内の利上げを見送る考えを示唆したことを受け、地合いが変化したとアナリストは指摘する。こうした動きを背景に、株価をはじめ原油や銅などの金属相場も持ち直し、ここ数週間は金の需要が抑えられている。
失速する金相場、リスク選好強まり投資家離れ
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