それは、各人が座った席と、その人の名前を結びつけて覚えていたからです。
といっても、これだけではなんのことかわかりませんよね。もう少し具体的に説明しましょう。
このときシモニデスが使ったのが、「フック記憶法」です。
それは、「ある特定の順番を持っているもの」と「覚えようとしているもの」を結びつけて記憶する方法をさします。
特定の順番を持っているものとして、よく使われるのは「体の部位」です。
5つの単語を覚えたいならば、それぞれを「頭髪、額、眉毛、鼻、口」といった5つの体の部位(存在する順)と、合体させて覚えることをおすすめします。
この「フック記憶法」を、一緒に練習してみましょう。
買うものと体の部位を
結び付けて頭に刻む
上から順番に、体の部位に対応させる「フック記憶法」。
その具体例として、私の買い物の仕方を紹介しましょう。
その日、赤のサインペンと赤いボールペン、ホチキス、のり、定規、プリンターのインクが欲しかったとします。
脳を鍛えるために、あえてメモをせず、フック記憶法を使ってみましょう。
体の部位と買うものとを結びつけて、頭に刻み込めばいいのです。
では、どうやって結びつけたのか――。