「つみたてNISA」という制度をご存じですか? 税金が得する口座を開いて、そこで投資信託を積み立てで購入する制度です。
銀行は儲からないので積極的に教えてはくれませんが、税金が得するほか、手数料の安い投資信託が購入できますし、金融機関によっては100円から始めることができるので手軽です。
そんな良い商品を広めるべく、セゾン投信の中野晴啓社長が上梓した『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』。この連載はこちらの本から、エッセンスを抜き出して連載いたします。

「つみたてNISA」で<br />買ってもいいと思えるのは<br />今のところ8本だけ

つみたてNISAの投資信託は
金融庁が出した条件をクリアした
基本的に良い商品

第1回はこちら

前回は、投資信託がだいたい6000本もある中、つみたてNISAで購入できる投資信託は162本だというご説明をしました。

これらの投資信託はすべて、購入するときの手数料が無料ですし、資産形成には向かない種類のもの、たとえば毎月分配型の投資信託は除外など、だいぶ絞り込まれた印象です。ただ、それでもつみたてNISAを始めてみたいと言う個人の間で、「何を選べば良いのか分からない」という声が多いのも事実です。

これはiDeCo(個人型確定拠出年金)でも同じ問題があったのですが、いざ始めてみようと思っても、選択肢が多すぎて、何に投資すれば良いのか分からなくなってしまうのです。すると、結果的に何も動けなくなる……というワナにはまってしまいます。

よく、「商品の数は多いほど良い。なぜなら、選択の自由度が高まるからだ」という意見もありますが、決してそうではありません。もちろん、全員が目利きであればそれでも良いのですが、本書を手にして読んで下さっている方は、大半がそこまでの選択眼を持ち合わせていないと思います。だからこそ、本書を活用してもらいたいのです。

本ではズバリ、これからつみたてNISAを始めるにあたって、長期投資にふさわしい条件でスクリーニングをしました。世界へ分散して投資するものや、日本の人口減など将来を考えて、日本株の比率は1/3以下など、ここでの詳しい説明は省きますが、スクリーニング後に残った投資信託は8本のみでした。

この8本の投資信託なら大きな失敗をせず、20年後には1500万円の資産を築くに足る実現可能性を有していると、個人的に考えています。(なぜ1500万円なのかは第1回をお読みください)

あとはしくみを作って、長期間、コツコツと愚直に積み立て投資し続けるだけです。それほど深く考える必要はありません。悩む必要もありません。冒頭でも申し上げましたが、特別な何かをする必要は全くないのです。

月3万3000円を積み立て投資に回すのは、結構大変かもしれません。しかし、途中で諦めずに続ければ、お金に困ることのない「100年人生」を送るうえで、必要にして十分な資産形成を実現できるはずです。

(続く)

中野晴啓(なかのはるひろ)
セゾン投信代表取締役社長、1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社2006年セゾン投信を設立。07年4月より現職。積み立てで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言、それに合った2本の投資信託を運用し、価値ある投資信託に送られる「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を5年連続受賞、口座開設数約14万人、預かり資産約2400億円に。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。
著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』『お金のウソ』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)ほか多数。