最近のハイテクトイレは水の使用量が従来製品比3分の1ほどまでに少なくなり、経費節減効果でも脚光を浴びる

「トイレに難ありだと、お店を友達に紹介するなんてできませんよね」「男性が使った後のトイレを使うなんてゲンナリします」──。

 便器メーカーのTOTOは、飲食店利用者を対象に店のトイレに関するアンケートや座談会を実施した。そこで出た意見は、日頃から料理や接客に腕を磨いている街の飲食店経営者に、目からウロコのものばかりだった。

 TOTOが街の飲食店のトイレ市場開拓に本腰を入れ始めたのは昨年のことだ。それまで、百貨店などの商業施設やオフィスビル、空港や高速道路のパーキングエリアなど、大規模な事業者向け市場には力を入れていたが、小規模の飲食店市場はあまり手掛けてこなかった。

 そこで、昨年2月頃からアンケートや座談会でのユーザーからの意見を飲食店側に紹介する「小空間トイレセミナー」と題したセミナーを全国で展開したところ、「さほど期待していなかったのに、あまりに反響が大きいので驚いた」(河村浩・販売統括本部リモデル営業推進部企画主幹)という。

 街の飲食店オーナーたちからの引き合いは思いのほか強く、一昨年と比較して、セミナーの開催数は3割も増えているほどだ。

 平行して、飲食店検索サイトへの営業活動にも力を入れている。今年4月から「グルメぴあ」の検索条件に「女性用パウダールームあり」という項目を新たに加えてもらうなど、消費者の関心を引くことで飲食店経営者にもトイレに対する意識の向上を図ってもらおうという戦略。グルメぴあ以外にも、検索サイト側の関心は高く、「手応えを感じている」(河村主幹)という。

 飲食店オーナーの多くは男性。女性客がトイレ内で着替えをしたり、使用音を消すために「音姫(機械で流水音を流して使用音を消す装置)」をほぼ必須と考えたりしているといった、女性のトイレ事情には疎い。しかし、トイレの満足度が極端に悪ければ、どんなに料理や接客に凝っても、努力はすべて水の泡。「知らなかった」では済まされない。