トイレの節水技術は大手にも負けない?
中国に本格展開する木村技研の勝算
トイレに入ったときに使う水の量は人それぞれだが、我々は知らず知らずのうちに、想像以上に多くの水を使っているものだ。世の中で節水ニーズが盛り上がるなか、トイレメーカー各社は、より高度な節水が可能な製品の開発にしのぎを削っている。
創業から60年以上を数え、世田谷区の閑静な住宅街に本社を置く老舗メーカー・木村技研もその1社。業界では「中堅」と呼ばれる事業規模ながら、売上高ベースでは前期の約24億円から今期は約30億円へと、堅調な成長を続けている。
同社の成長を牽引している主力製品は、大手顔負けの節水を実現する過剰水量防止装置「アクアエース」。これは、水量メーターを内蔵し、利用者をセンサーで感知して滞在時間によって大小を判定し、それぞれに最適な流量で流し分ける機能を搭載した「バルブ」である。このバブルを取り付けた便器を提供しているのだ。
試算によると、通常のバルブが設置されたトイレでは、1回20円、年間14万4000円もの水道料金が使われるが、アクアエースを使えばその費用を半減することができるという。まさに「大手顔負け」の節水技術なのだ。
同社の製品ラインナップは、この「アクアエース」を軸にして多岐に渡っている。節水をはじめとするトイレの収益性に加えて、快適性や機能性も重視し、トイレのトータル・コーディネートを行なっていることも、同社の特徴だ。
たとえば、曲面引き戸を採用したトイレユニット「Ai-CABIN」、ニオイやホコリを床からの換気機能で根元から解消するパネル「フロアシステム」、洋式便器を壁掛けにするなど、使いやすい設備をコンパクトにセットアップする「トイレシステム」など、いずれも誰も思いつかなかった「アイディア商品」ばかり(詳しくはホームページを参照)。
そんな木村技研が、長年日本で蓄積した技術やノウハウを武器に、中国での本格展開を考えているという。同社のサービスは、日本同様に中国でも注目を集めることができるだろうか。木村隆英社長と二人三脚で製品開発への飽くなき挑戦を続けて来た木村朝映・副社長と、同社の中国ビジネスを取りまとめる青山恵美・取締役兼海外本部副本部長に、中国市場の現状と今後の現地戦略を詳しく聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)