「ワークライフバランス」から「ワークライフハピネス」へ

1 仕事を楽しんでいる
2 いい仲間、いい家族がいる
3 経済的に安定している
4 精神的・肉体的に健康である
5 刺激のある趣味やライフスタイルを持っている
6 時間を自分でコントロールできると感じている
7 住む場所をしっかり選んでいる
8 いい考え方のクセを持っている
9 将来の見通しが立っている
10 ゴールに向かっている感覚を持つ

 この10の条件を持っていることが、幸せの条件であり大前提です。普通は、この一部だけを持って「幸せだ」とか「幸せになるためにはこういうものが必要だ」と考えがち。でも、これからは、すべてをバランスよく持っているということが大切なのです。

 私はあまり「ワークライフバランス」という言葉が好きではありません。その理由のひとつは、文字どおり「ワーク」と「ライフ」のバランスだけに焦点が当たってしまっていること。ここであげた「お金」や「趣味」や「健康」や「住環境」といった他の重要な条件が抜け落ちてしまっているからです。

 北欧でインタビューをしていて感じたのは、たとえ会社員の人でも、仕事や時間をコントロールできている意識がすごく強いということ。またいい仲間もいて、面白い仕事にチャレンジできて、場合によっては学校に入って学び直すこともできる。常に自分で考えて選択ができる、それがすごく大切だと感じました。

 なぜ日本人からその感覚が抜け落ちてしまったのでしょうか。それはかつて、幸せのストーリーすべてを会社がつくってくれていたからでしょう。「趣味」を持ちたいと思えばクラブ活動があり、たとえば野球場まで用意されている。また、「住環境」でいえば社宅や社食、さらには保養所など、仕事以外のサードプレイスまで完備されていました。

 そのため、それらを保証してくれていた会社がなくなったり、早期退職を迫られるなど予定外のことが起きると、自分の居場所を一度に失うという結果を招いてしまうのです。

 さて、これから私たちは何を目指していけばよいのでしょうか。「ワークライフバランス」のようなわかりやすい標語はないだろうかとずっと考えていて、ひとつの言葉が浮かびました。それは「ワークライフハピネス」です。

「ワーク」と「ライフ」両方の「ハピネス」を目指す。仕事と人生の境目はもちろん、仕事と遊びの間の境目もありません。

 お金や時間や場所から自由になるように、仕事と遊びの垣根もなくなる。これからは、どんどんそういう方向に進んでいくと思います。これなら、定年になって居場所がない、仕事がないと悩むこともありません。生きていることが仕事になっていて、いつまでも自分が必要とされる、まさに幸せな終身労働のイメージです。

 次回からは、実際にインタビューで聞いた北欧の人たちの言葉を引用しながら、私たちが目指すべき“新しい幸せ”の姿について迫っていきたいと思います。

 ※次回配信予定は6月20日(水)です。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

自由に生きるための「新しい幸せ」10の条件定価:1,470円(税込) 四六判・並製・192頁 ISBN978-4-478-014707

◆本田直之『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。
北欧諸国があらゆる「幸福度ランキング」で上位を占めているのはなぜか。世界的に見ても豊かなはずの日本が、どうして81位なのか――。
ハワイをベースにノマドライフを実践する本田直之が幸福度ランキングトップの北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合って得た、確信。

 ご購入はこちらから
[Amazon.co.jp][紀伊國屋BookWeb][楽天ブックス]