ベンチャー起業家の歴史をひもとくと、その源流は、パソナを設立した南部靖之氏、ソフトバンクの孫正義氏、エイチ・アイ・エスを起業した澤田秀雄氏ら「ベンチャー三銃士」にあるといわれる。
時は80年代、第1次を受け勃興した第2次ベンチャーブームをつくり上げた中心人物たちである。学生から社会人経験も経ずに起業することなど全く考えられなかった時代に若くして成功を収めた彼らは、その後に続く多くの若手起業家たちにとってのロールモデルとなった。
さらに、バブル経済の崩壊が新たな起業家を呼び込んだ。
子供のころは好景気を謳歌する大人たちを目の当たりにしながらも、その後の不景気で就職難に苦しめられた就職氷河期世代である。安定した将来像を描けない中、一獲千金を狙う「ヤマ師」たちが、続々と起業家となった。「76世代」の起業家は、まさにこうした原体験を持つ世代なのだ。
折しも、この時代にネットの普及が進んだ。
95年、「Windows95」の発売に象徴されるように、ネットが一般社会に根付いていく中で、若い世代にとってなじみやすい新技術が、大企業がそれまで行ってきた資本力による勝負とは別の戦いを可能にした。
また、94年以降、特に経済の復興をもくろむ政府が、中小企業向けの規制緩和や支援制度を充実させていったことも追い風となり、次々と新しい企業が生まれた。第3次ベンチャーブームである。