現在に至っても、その人口密度の差は大きく変わっていない。1982年に行われた中国の第3回人口調査では、東南ブロックの人口比例は94.2%、1990年の第4回調査時は94.1%、2000年の第5回調査では93.9%、2010年の第6回調査では93.7%を占めている。七十数年でわずか2.3ポイントしか減っていないこの人口数は、西北ブロックの自然環境の厳しさを何よりも雄弁に物語っている。水が少ない西北ブロックの生存環境があまりにも厳しすぎるから、そこで暮らす人口はなかなか増えないのだ。

西安から西へ行くと過酷な世界に
「紅旗河プロジェクト」にかかる期待

 西安はぎりぎりとはいえ、運よくその胡煥庸線の右側、つまり東南ブロックにある。だから、豊饒な緑と水に恵まれている。しかし、そこからシルクロードに沿ってさらに西へ行くと、過酷な世界が広がってくる。車をいくら走らせても村らしい村にはなかなか出合えない、無人地域も結構ある。その厳しすぎる自然環境を目の当たりにした中国人の多くは、ごく自然に「もし中国の西北部にも多くの水資源があれば」という夢を見るようになる。

 今回は、近年中国で議論されている「紅旗河プロジェクト」を紹介することにした。西北部の乾燥と水不足の生態環境が地域発展のアンバランスを招き、中国の持続的な発展能力を著しく制約している。「西北部の水資源問題を徹底的に解決しさえすれば、中国はさらに大きく発展していけるのだ」と信じる人たちがいる。

 科学研究分野では最高レベルの研究者という意味の院士6名と、教授12名、および若い博士数名が、西北部の水供給問題の難題に取り組み、2年あまりの努力の末、「実現可能で科学的に合理的な水供給ルート」とアピールする「紅旗河プロジェクト」案をまとめることができた。同グループは「中国の生態環境を一挙に変えることができる」と自画自賛している。

 紅旗河は、チベットのヤルツァンボ江が大きく曲がった付近から取水(水位2558メートル)し始め、海抜が高く自然環境が脆弱なチベット高原を避けるようにして流れ、和田(ホータン)と喀什(カシュガル、水位1300メートル)に達する、全長6188キロメートル(200キロメートルの自然の川道を含む)に及ぶ人工河川だ。落差は1258メートルもあるが、平均勾配が1万分の2くらいあるので、川の水がその水位の差で自ずと流れていける。これが紅旗河プロジェクトの概要だ。