各々の僧侶の出身地や生年月日、僧侶になった理由、趣味・特技などの詳細プロフィールも興味深い。『美坊主図鑑 ~お寺に行こう、お坊さんを愛でよう』は1365円(税込み)。

 最近、「坊主」が人気だ。

 その先鞭を付けたのは、やはり気鋭の僧侶・小池龍之介氏であろう。『考えない練習』(小学館)、『もう、怒らない』(幻冬舎文庫)といった仏道入門の著書は軒並みベストセラーに。人間の煩悩を知り、五感を研ぎ澄まそうというメッセージが共感を呼び、主に女性たちの支持を集めた。

 また、隔月発行のフリーマガジン『フリースタイルな僧侶たち』も話題となった。全国の若手僧侶たちを紹介し、自由な発想でメッセージを発信する。

 さらには、東京・新宿区には「坊主bar」なるバーも存在する。スタッフ5名は全て正真正銘の僧侶。店内には仏壇を備え、1日複数回の説法を行なっているという点もユニークだ。

 そんな今、ついにここまで来たか……と感嘆せずにはいられない、衝撃の書が誕生した。その名も、『美坊主図鑑 ~お寺に行こう、お坊さんを愛でよう』(日本美坊主愛好会、廣済堂出版)だ。

 そのセンセーショナルなネーミングに違わぬ内容に、再び度肝を抜かれる。紹介されているのは、真に見目麗しい、東西総勢40名の若き僧侶たちだ。装束や作務衣の姿も凛々しく、そして剃り上げた頭部も実に清々しい。お世辞抜きに、「これは海老蔵か!?」と見まがうような美男子揃いだ。そして、洋装のプライベートショットも多数紹介されているのだが、そのギャップの大きさもまた魅力である。

 しかも、氏名や勤務地(所属する寺院)なども明記されているので、「会いに行けるアイドル」ならぬ「“拝謁”に行ける僧侶」というわけだ。

 それにしても、彼ら僧侶たちと普段目にすることが多い一般ビジネスマンたちとの雰囲気が大きく違うのが、非常に印象的であった。それは、仏門という未知の世界で厳しい修業を経た人物だけが持つ、凛とした空気感や精悍さではなかろうか。また、彼らの多くが実年齢より若く見えたのだが、それは早朝からのお勤めや精進料理といった生活習慣がもたらすものなのではないかと、がぜん想像は膨らむ。

 さて、なぜかくも女性たちは僧侶に惹かれるのであろうか? 本書では、「震災で不安が増大している女性は多い。そんな彼女たちが、同年代の感覚で相談にのってくれる僧侶たちに、大きな安心感を寄せている」と説く。さらには、仏像ブームの影響で、仏教への関心がにわかに高まったという背景もあるだろう。

 美しく優しい僧侶たちが、仕事や恋愛、そして人生において悩み迷える女性たちを癒し、支える……。それは、混迷を極めた現代の日本が求める、時代の必然ではないだろうか。

(田島 薫/5時から作家塾(R)