感情年齢には、当然ながら個人差があり、ボケの進み方にも個人差が大きく表れます。だれにでも年齢を重ねれば脳にボケの兆候が表れます。ただし、先ほども述べましたが、脳に変化があっても日常生活にはまったく支障がないことも珍しくありません。本人が自分の状況に気づいて、もの忘れをしないように「メモの習慣」をつけたり、日常的に、発言や行動などにも気をつけたりして、うまく適応して振る舞うことで、家族でさえ気がつかないケースもあるのです。本人がボケに気づかないことすら少なくありませんが、そんな場合も、本人が幸せならば、まったく問題ないともいえます。

 ひとつ誤解が多いのは、ボケが「急にくる」ということ。認知症は「急に発症する」ということはほとんどなく、「ゆっくり進行する」のです。ある時期、ある日、急にボケるということはまず起こらなくて、そういう場合は、ほかの原因が考えられます。その代表的なものが「老人性のうつ病」です。「心の老化」を考えるうえでは、この老人性うつ病への予防と対策もしっかり取る必要があります。

「うつ」にならないために今からできる基本習慣とは

 うつ病はある程度は予防できます。その基本は、毎日の生活からです。まずは「食生活を工夫する」ことから始めるのがいいでしょう。それには、うつ病の原因の一つではないかと考えられている、神経伝達物質セロトニンの不足を補うのがポイントです。セロトニンの原料はたんぱく質の材料となる必須アミノ酸の一種であるトリプトファンなので、「肉や魚、大豆製品を積極的に食べる」ことを意識します。

 セロトニンは、コレステロールを増やすことでも脳内により効率よく運ばれると考えられています。コレステロールは、男性ホルモンの材料でもありますから、増やすことでさまざまなメリットがあるのです。