ドナルド・トランプ氏は米大統領執務室の歴代のあるじの中でもゴルフの腕前はピカイチだ。今週ロンドンを訪れた際、近く退任するテリーザ・メイ英首相の努力によって、英国は欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に向けて「ティーアップした」(第1打を打てる状態にある)と発言した。こう表現することで、トランプ氏は「マリガン」(ミスショットの打ち直しを認める非公式のルール)に新しい意味を与えた。英国の政治家はブレグジットで少なくとも規定打数を40オーバーしている。ボールを打つたびにクラブのネック部分に当てたり、引っかけたり、ボールの上をたたいたりしているからだ。実のところ、2016年に有権者が決断したEUからの離脱を履行しようする英エリート層の努力には少しもおかしいところはない。国民投票は民主主義に基づく伝統的な意思表示の方法だ。離脱はわずかの差で決まったが(51.9%の支持)、民主主義においてはそれでも勝利とみなされる。むしろ厄介なのは、国民に選ばれた偉大な政治指導者たちがその意思を実行できない可能性があることだ。世界最古の民主主義国の1つでまさにガバナンス(統治)の考え方そのものが行き詰まる可能性が高まっている。
【オピニオン】欧米の統治はまだ可能なのか
ナショナリズムが台頭する中、民主主義国は行き詰まり状態にある
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