フレームワーク30 DAY22 破壊的イノベーション

 飽くなき品質の追求が敗北をもたらす──。そんな驚きの逆説である「破壊的イノベーション」は、米ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授によって提唱された。著書の「イノベーションのジレンマ」という名称でも広く知られ、市場の新規参入者が大手既存企業を打ち負かす構造を明らかにした。

 既存企業は自社製品に競合より高い付加価値を付けるため、顧客の声を聞きながら技術開発を進める。そんな既存プレーヤーの取り組みを「持続的イノベーション」と呼ぶ。ともすれば、熱心さ故に過剰品質となる可能性と裏腹だ。

 一方、新規参入者が実現する破壊的イノベーションでは、性能自体を向上させるわけではない。むしろ、既存の製品やサービスより機能を絞ってシンプルにしたり、それによって値段を下げたりする。そうした製品は当初、従来顧客が受け入れずとも、低価格などに満足する新たな層を生む。

 破壊的イノベーションで新市場を創った新参者は、次の段階として顧客の要望を取り入れながら急速な持続的イノベーションで性能を向上。いつしか、従来の主要顧客が満足する性能レベルに追い付き、業界の主役が逆転することになるのだ。

(週刊ダイヤモンド2017年8月5号「ロジカルシンキング&問題解決法」を基に再編集)