新しい常識をつくるイノベーターとして活躍する若きリーダーたちは、どんな環境で育ち、どんな原体験に支えられているのか。今回は、中学2年生のときに参加した釜ヶ崎・あいりん地区での炊き出しボランティア体験でホームレス問題に直面して以来、その解決に取り組み、19歳でNPO法人Homedoor(ホームドア)を設立した川口加奈理事長です。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」論説委員 深澤 献)
親に内緒で参加した
釜ヶ崎での炊き出し
Photo by Masato Kato 拡大画像表示
──大阪出身ですね。
父親の転勤で幼稚園年長から千葉県浦安市に移って、小5でまた大阪に戻りました。サラリーマンの父と、たまにパートに行く母と、2歳年上の兄の、どこにでもあるような家庭で育ちました。
──中学からプロテスタントの名門女子校に進んでいますが、中学受験は自分の意思ですか。
兄の影響です。兄はサッカーばかりしていて、「勉強しなさい」と親に怒られていたので、私はそれを見て勉強するようになっていたのですが、その兄が中学受験をしたんです。母が「お兄ちゃんは男の子だから」と言うので、「何でお兄ちゃんにだけお金を掛けるの」と思い、私も中学受験をさせてもらいました。うちは、父がお風呂に入ると母が着替えを持っていくような亭主関白な家だったので、将来私は、家庭に入るとかそういうのは嫌だなと思っていました。
あとは、近所に母や叔母が通った私立の女子校があって、そこのトイレがきれいだったので、私立がいいなと。女子校を選んだのは、そのころの男子特有のおばかな感じが嫌いだったからです。