米連邦準備制度理事会(FRB)は19日、苦肉の策に出た。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を据え置く一方で、弱い経済指標が発表され、「景気拡大の持続」が必要になる事態になれば、利下げする準備があることを示唆したのだ。無理もない動きに思える。ドナルド・トランプ大統領がジェローム・パウエルFRB議長を「政治的なサンドバッグ」にしている状況では特にそうだ。利下げの理由は関税の打撃を打ち消すことでも、ましてやトランプ氏をなだめることでもない。インフレ率がFRBの目標である2%を下回っているうえに加速する兆しがなく、商品相場は横ばいから下落、ドルは世界的に旺盛な需要を受けて強い、といった状況だからだ。しかし、こうした傾向が続くかどうかを判断するために7月発表の経済指標を待つことにほとんど害はない。同時に、ここにきてソフトパッチ(一時的鈍化)が見られる米経済の強さを見極めるのだ。