また、医学の世界では、内臓肥満、高血圧、高血糖、血中脂質異常などの症候が同時に現れるメタボリックシンドローム(メタボ)が、働き盛りの世代に多いことがわかっている。メタボは、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患、2型糖尿病などの重要なリスク要因となる。

 ということは、これら働き盛りの世代が置かれている状況を分析することで、彼らの世代に望ましい仕事への取り組み方や健康への留意点等が見えてくるかもしれない。

ストレスフルな状態が続くと
メタボ発症のリスクが高まる

 このことについて、北里大学医学部公衆衛生学の堤明純教授、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の川上憲人教授、および渡辺和広助教らの研究グループが明らかにし、医学誌「Obesity Reviews」に発表した(Work‐related psychosocial factors and metabolic syndrome onset among workers: a systematic review and meta‐analysis(Obesity Reviews 2018年7月25日))。

 この北里大学と東京大学の研究グループは、次のような手法で研究を行った。

 1.2016年12月までに公表された論文で、職場の心理社会的要因とメタボの発症リスクとの関連を検討した観察研究の論文を系統的に検索した。

 2.抽出した4664件のうち、条件を満たした8件の論文を対象にメタ解析を行い、これらの関連を検討した。

 その結果、職場で好ましくない心理社会的要因にさらされている(重い仕事の量的負担、裁量権なし、上司や同僚からの支援なし、交代制勤務の仕事、長時間労働の仕事など)労働者のメタボ発症率は、そうでない労働者に比べて47%増加することが明らかになった(相対リスク1.47 : 95%信頼区間1.22-1.78)。

 特に質の高い研究のみを選んだ場合の相対リスクは、40%上昇した(同1.40 : 1.16-1.70)。

 今回の研究では、職場でのストレスを高める「ストレイン」(仕事の要求度と裁量の自由度)と、交代制勤務に関する研究が多く、メタボと関連が深いことも分かった。

「この研究は、仕事関連の心理社会的要因とメタボリックシンドローム発症リスクの上昇との間の強い正の関連を明らかにしています。メタボリックシンドロームに対する職務上の緊張や交代勤務の影響は重要であるように思われます」と、研究者は述べている。