これを金融の専門用語にたとえると、「プット・オプションの売り」と似ています。これは、売り手が受け取れるのはオプションを売った手数料だけで、アップサイドはない半面、株価が下落して買い取り価格を下回る場合でも高い価格で買い取らねばならず、株価が買い取り価格を下回れば下回るほど損失が膨らむダウンサイドの大きい取引です。確定給付型年金も給付増額が期待できず、アップサイドが限定的な一方、AIJ問題のような事態で積立金が大きく減少すると、給付減額や年金基金解散などの可能性があるため、ダウサンド・リスクが非常に大きいと言えます。

コントロールできることこそ最大のメリット

 これに対し、確定拠出型年金は運用の仕組みがシンプルで、企業が用意した商品ラインナップの中から、従業員が自ら選択し、運用した結果が良くも悪くも商品ごとにそのまま反映されます。確定給付型との比較で真っ先に指摘されることが多いのが、確定拠出型は給付額が企業によって保証されずに運用実績によって変動する点で、これは通常デメリットと受け止められがちです。しかし、前述のように、確定給付型でも運用実績やそのときの企業業績などで“間接的に”給付額が変動します。しかも、確定給付型ではこのような事態を自分でまったくコントロールできないため、ある日突然、給付が削減されることが起こり得ます。一方、確定拠出型であれば、市場の動きはコントロールできなくても、投資対象や商品に対する配分割合は自分でコントロールができます。コントロールできるからこそ、何らかの手立てを講じることができるわけで、この部分は大きなメリットと言えるでしょう。

 また確定拠出型では、確定給付型と違って掛金が自分の年金口座に支払われた時点で自分のものになっているため、企業の業績によって没収されることも原則ありません。大企業であっても永続的な存在となりえない現代においては、確定拠出型年金のこのメリットはもっと強調されてもよいでしょう。