しかし、親が成果や結果だけを評価してしまうと、子どものなかにこうした感情が芽生えていく。「価値があるのは自分ではなく、あくまで○○ができる自分であり、ただの自分には価値がない」。こうした価値観は無意識に刷り込まれ、漠然とした不安や焦りとなって、子どもの心に棲みついてしまう。

 子どもの自己肯定感を支えるのは、無条件に自分の存在を受け入れてくれる「安全基地」の存在である。親には、成果に関してはどんな結果であっても受け入れる一方で、挑戦したプロセスを認めることが求められる。たとえば、子どものテストの結果が良かったとしよう。その際は、点数だけに着目するのはNGだ。「週末によく勉強していたからだね、頑張ったね」などと、プロセスに着目した声かけが望ましい。

◇子どもを「ちょっと前の子ども」と比べよう

 子どもとの関わりで避けたほうがいいのは、我が子を他の子どもと比べることだ。子どもは周囲と比べられると、自分の努力よりも、周囲の客観的な評価ばかり気にするようになる。何かを達成したときには、自分が成長している実感を得られる。にもかかわらず、比較によって委縮してしまうのは、もったいない。

 子どもを評価するときには、「以前のその子と比べる」のがよい。誕生日、年末などの節目で、子どもを一年前と比べてみると、その子のさまざまな成長に気づける。「だいぶ○○ができるようになったね!」という伝え方なら、うまく子どもをほめられるため、子どもを叱りがちな親御さんにおすすめである。

◇「大人も失敗する」ことを教える

 そもそも子どもがチャレンジしなくなった背景には、大人の失敗経験が減り、寛容さが減ったことがあるのではないか。そう著者は推察している。いまや、何をするにしても、その場で効率のいい方法や他者の評価を調べられる。そのため、失敗して恥をかいたり、周囲に迷惑をかけたりする機会が少なくなっている。親も子どもに失敗をさせて恥をかきたくないため、先回りして手を打つことが増えた。その結果、子どもが挑戦を恐れるようになったと考えられる。

 大事なのは、親が失敗を悪いものと思いすぎないことだ。むしろ、大人側が、失敗から学んだ経験をもっと話すほうがよい。そうすれば、子どもは大人でも失敗することを学ぶ。そして、親子や先生と生徒の関係を離れて、一人の人間として大人と向き合えるようになる。このように、弱みを見せ、失敗を笑いあうことは、親子や先生と生徒の距離を縮めるうえでも効果的である。