その面々を目の前にして、若宮さんは「(ユアネイルの)ターゲットユーザーではないな…」とがっかり。そして、ついつい「皆様がお使いになることはないと思うのですが…」という気持ちがにじみ出るトーンでプレゼンを展開してしまったといいます。

 目の前に男性ばかりが並んでいるのですから、そう思う若宮さんの気持ちは痛いほどわかります。しかし、このアプローチは「致命傷」になってしまいました。

 プレゼンテーションで最も大事なのは「聞き手の当事者意識」です。聞いている側に「自分には関係ないな」と思われた瞬間に、プレゼンの成功確率はぐっと下がってしまいます。

 実際、このプレゼンテーションは入賞を逃してしまい、若宮さんはとても悔しい思いをされていました。そして、プレゼンテーションが終わったあと、どうすれば直接のユーザーではない人たちにも響く内容にできたか、私に質問してきてくださいました。

「ネイルシールを伝える係」に
男性陣を任命、当事者意識を持ってもらう

「プレゼンテーションはプレゼント」というのが私の持論です。贈り物は、相手のことを思って渡すのが鉄則。相手が喜んで使ってくれたり、身に着けてくれたり、食べてくれたりするのがプレゼントの醍醐味です。

 とはいえ、同じものを渡すにしても、相手によってプレゼントの意味を変えることが大切です。つまり、直接プレゼントを渡す相手を喜ばせるのではなく、その先にいる誰かを喜ばせる方法もあるのです。

 例えば、花束。あなたが自分の大好きな人に贈って喜んでもらうというのは、分かりやすい例ですね。でも、それほど縁の深くない人に突然、花束を渡すと逆に怪しまれるかもしれません。

 その時は「私の家にはちょうどいい花瓶がないので、奥様へのプレゼントとしてお持ち帰りください」とか「職場の受付に飾ってください」といった形で、「その人を介して誰かに喜んでもらう」というアプローチも考えられます。

 おもちゃなどのマーケティングの際も、同じようなアプローチが考えられます。手にして喜ぶのは子どもたちですが、実際に買って渡すのは親御さんだったり、おじいちゃんやおばあちゃんだったりします。子どもたちの物欲を刺激しつつ、アピールするのは購入層であるその親以上の世代。つまり、伝え方に工夫が必要なわけです。