1914年の夏、欧州は戦争に向かっていた。英国の造船所ではオスマン帝国向けの艦船2隻が建造されていたが、オスマン帝国とドイツが同盟を結ぶ兆候を懸念したウィンストン・チャーチル氏(当時は第1海軍卿=海軍大臣)は、この艦船を押収した。その後ドイツは、代わりの艦船2隻をトルコに送った。10月にはオスマン帝国は、連合諸国との戦争を開始した。トルコがロシアからの兵器調達を決めたことをめぐる現在の危機は、1914年当時と同様の重大な結果を招く恐れがある。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領が北大西洋条約機構(NATO)の航空機の撃墜を目的に設計されたS400地対空ミサイルシステムの輸入を決めたことは、本質的に欧米諸国への挑戦だ。エルドアン氏がキプロスの排他的経済水域(EEZ)での天然ガス掘削の動きを見せていることもまた、トルコと、同国の以前の同盟諸国との間にくさびを打ち込むことになった。欧州連合(EU)はトルコへの資金援助の削減を検討している。