主催者側も努力したが…
出展社減少は止まらず

 2016年も470社が100万冊の本を一斉に展示し、来場者4万人という出版業界最大の本の祭典としてその盛り上がりが報道されていたため、翌年の休止に驚いた人も多かったはずだ。

「出版先進国」日本で国際ブックフェアが再開されない不思議日本書籍出版協会事務局長の樋口清一さん。他国の国際ブックフェアが好調なのは国の補助が大きい。だが、出版は国の思想とは離れた位置で表現の自由を重んじる文化で、国の補助金を丸々当てにした開催には問題があるという

 TIBFのスタートから実行委員として携わっていた書協の事務局長、樋口清一さんに、TIBFの何が問題だったのかについてお話を伺った。

「一番は個々の出展社にとっての費用対効果の意識の問題です。出展者の数が東日本大震災以降、急激に減ってきました。主催側は来場者を大々的に呼び込むことで出展のメリットを感じてもらう努力をしたのですが、大手をはじめとするブースの数は増えませんでした。海外との関係でも、中国など他国の国際ブックフェアが成長し、東京まで来て出展する海外の出版社が減りました。そうなると、国際ブックフェアの目的でもある版権商談も活性化しなくなります。元気のある日本の出版社は海外のブックフェアのほうに流れ、TIBFは経費削減で規模を縮小したり、参加を取りやめたりとなっていきました」

 インターネットやメールの利用で、商談など海外とのやりとりは昔に比べ格段にハードルが低くなった。また、海外渡航もLCCや格安航空券の一般化、ホテルもネット予約で安価になった。日本の国際ブックフェアでは壁になる英語の対応も、海外では人材が豊富で日本よりも通訳の負担が少ない。事業拡大を目指す出版社が直接海外の国際ブックフェアに出向く傾向は、これからも強くなっていくだろう。

 その環境変化について樋口さんは「主催者側としてもTIBFには大胆な改革が必要だと感じ、2016年はこれまでの出版社のビジネスに重心を置いたBtoBの事業モデルではなく、出版社と消費者をつなぐBtoCにコンセプト変更をしました。それまでの7月の平日開催だった日程を、一般消費者が来場しやすい土日を含めた『読書の秋』の9月にし、大きな方向転換を行ったのです。国際見本市の機能も残しつつ、時代にあったTIBFを目指したのですが、イメージ的には大きなディスカウントブックショップの誕生と捉えられてしまったことも否定できません。結局それだけではあまり出展のメリットを感じてもらえず、出展規模の拡大にはつながりませんでした」と言う。