熱中症対策
熱中症対策、正しく行えていますか? Photo:PIXTA

今年も猛暑に見舞われるのか……。昨夏は、各地で40度前後に達する歴史的な猛暑だった。しかし気象庁の発表によれば、今年の夏の気温は、沖縄・奄美で「平年並みか高い」ほかは「ほぼ平年並み」の予想だ。では、熱中症のリスクも低いのか――? 気象予報士の資格も持つ公立福生病院脳神経外科診療部部長の福永篤志医師は、「そうとは言えない。今年も十分な対策が必要」と話す。(ライター 羽根田真智)

油断大敵!梅雨明け後の
気温が一気に上がる今が危ない

――今年の夏は平年並みの気温といわれていますが、気温が低くても熱中症対策は必要なのでしょうか?

福永篤志
福永篤志
公立福生病院脳神経外科診療部部長
慶應義塾大学医学部卒業後、大東文化大学大学院法務研究科(法科大学院)卒業。脳神経外科医のほか、気象予報士、法務博士と多彩な顔を持つ。気象と病気の関係に興味を持つようになったのは、クモ膜下出血で倒れた40代半ばの患者が救急搬送されてきたことがきっかけ。普段から健康に留意していたという患者が、寒い中屋外で車を水道水で洗っていた時に発作を起こしたという家族の話から、寒さと血圧の関係に着目、その後、さまざまな論文を調べ、気象と病気の関係について調べるようになった。著書に『その症状は天気のせいかもしれません 医師が教える気象病予防』(医道の日本社)がある。

 昨年の夏より気温が低いというだけで、油断はできません。地球温暖化の影響で気温が上昇し、夜間の最低気温が25度以上の熱帯夜や猛暑日が増えていることを考えると、熱中症対策は必須。特に注意していただきたいのが、暑くなり始める「梅雨明け直後」です。

 例年、GW頃から熱中症患者の救急搬送が始まり、7~8月にピークをむかえます。昨年の熱中症による救急搬送状況(5~9月、消防庁)を見ると、全9万5137人のうち、半数以上の5万4220人が梅雨明け後の7月に搬送されています(2018年の関東・甲信越地方の梅雨明けは6月29日)。死亡者は133人でした。それに次ぐ8月は3万410人(うち死亡者は20人)なので、7月が8月を2万人以上、上回っているのです。

――昨年は7月23日に埼玉県・熊谷で国内観測史上最高の41.1度を記録し、7月は平年より2~3度気温が高い状況でした。救急搬送された人が多かったことに関係しているのではないでしょうか?

 もちろん、それも言えるでしょう。たしかに、各地の最高気温の動きと熱中症患者数を見比べると、多くの地域で7月に最高気温が上がり、それに伴い熱中症患者数も増えています。ところがその後、最高気温が高い状況が続いていても、必ずしも熱中症患者が多いとは限らないのです。7~8月と2ヵ月にわたって見ても、最高気温は同じく高いのに、一気に気温が上がった時に熱中症患者は増え、その後は減っていました。

 これは、人間の身体に「暑熱順化」という機能が備わっているから。暑さが続くと次第に慣れて熱中症になりにくくなるのです。つまり、7月と8月が同じくらいに暑いとすると、暑さに慣れる前の梅雨明け直後の方が熱中症になりやすいといえます。梅雨明けの気温が一気に上がる時には、かなり注意をした方がいいでしょう。