マリオ・ドラギ総裁Photo:Anadolu Agency/gettyimages

緩和にかじをきったECB
利下げは先送り

 欧州中央銀行(ECB)は7月の政策理事会で、政策金利の運営方針を変更し、近い将来の利下げを示唆した。

 ただし、対外依存度の相対的に大きなドイツやイタリアを中心に景気の減速が既に明確であるにもかかわらず、今回は実際の利下げを見送ったことで、金融市場ではネガティブな反応も見られた。

 利下げを先送りした理由としては、副作用の軽減策に合意が得られなかった点が大きいとみられるが、政策金利のマイナス方向への引き下げ余地が大きくないことも理由にある。

 今後の景気や物価の動向次第では、昨年末に資産買い入れを停止してから1年もたたないうちに量的緩和が再開される可能性が浮上する。

マイナス金利深掘りに課題
副作用の軽減策が必要に

 すでにマイナス金利政策を実施しているECBにとって、今後の利下げはマイナス金利の深掘りと長期化を意味する。

 それだけに、金融機関の収益悪化で金融仲介機能が弱まる副作用に対する懸念が強まることを考えると、利下げをする場合は、副作用の軽減策と同時に行うことが望ましい。