以上の4つのポイントを総じて評価すれば、今回のFOMCの結果は一部が期待していたほど緩和色の強いものではなかったが、それでも緩和的であることには間違いない。

市場の利下げ織り込みと
「トランプ介入」に苦肉の策

 雇用統計や小売売上高など、市場の予想を大きく上回る経済指標が確認され、米国景気の実態が特段悪いわけではないにもかかわらず、なぜFRBはこのタイミングで利下げに踏み切ったのか。

 今回の利下げについて、パウエル議長は「保険的なもの」と表現しており、実際に景気そのものが悪くなっているという認識は示していない。米中の貿易摩擦をはじめとした不確実性や、それが将来、米国経済に負の圧力として及ぶリスクを未然に緩和することを目的とする、との説明だ。

 こうした保険的な利下げは1990年代の半ばから後半に実施されたことがあり、累積の利下げ幅は1%未満で終わっている。

 パウエル議長の発言をそのまま受け止めれば、2000~2003年(ITバブル崩壊、累積で5.5%の利下げ)や、2007~2008年(リーマンショック発生、累積で5.0%の利下げ)のような危機時の対応とは、少なくとも現状では違うと考えたほうがいい。

 議長も含め現時点でFOMCメンバーが感じている問題意識は、危機対応ではなくあくまでも微調整、といったところなのだろう。

 実際、今回のFOMCでは、今はまだ利下げをすべき時期ではないとして、利下げに反対票を投じたメンバーが2人いた(ローゼングレン・ボストン連銀総裁と、ジョージ・カンザス連銀総裁)。